いじめへの対応

いじめへの対応

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いじめに対処する際の留意事項

いじめに対処する場合、学校側として留意すべき事項は何ですか。

いじめは、学校に対する損害賠償請求にまで発展しかねない重大な問題であり、以下の事柄に留意することが求められます。

①学校・教員が負う法的義務

学校・教員には、児童・生徒の生命・身体等の安全について万全を期すべき義務があり、学校側としてこの義務を果たしたといえるためには、単に一般的・抽象的な注意・指導を行うだけでは足らず、より具体的な対応が法的に求められます(浦和地判昭和60年4月22日)。いじめは教師や親からは察知し難い上、最悪の場合には、いじめられている児童・生徒の自殺にまで発展しかねません

仮に学校側において、自殺までは予測することができなかったとしても、その児童・生徒が受けているいじめが、その児童・生徒の心身に重大な危害を及ぼすものであることを認識していた場合には、自殺についての損害賠償責任が問われる可能性があるのです

そのため、学校側としては、

1.重大かつ深刻ないじめの存在が推察される事実を把握した場合はもちろん
2.事実を把握していなくとも、児童・生徒やその保護者から具体的事実の申告に基づく真剣な訴えがあった時には、適切な対処を採ることが求められます(福島地裁いわき支判平成2年12月26日)

②具体的な対処方法

具体的には、下記のことが求められます。

1.当事者からはもちろん、周囲の児童・生徒からも事情聴取をして調査を行い(注)、事実関係を正確・詳細に把握すること

2.事実調査によりいじめの実態が解明された場合には、被害者側・加害者側の当事者だけでなく、クラス全体・学年全体・学校全体の問題としてこれを取り上げ、 生徒全員に対し、いじめがいかに卑劣で醜い振る舞いであるか、被害者側の屈辱や苦悩がいかに大きいかを十分に説明するとともに、いじめを黙認しないこと、 いじめを見かけたら教職員に報告することを呼びかけ、被害者側の児童・生徒本人にもいじめと闘う気概を説くこと

3.一定期間は当事者を特に注意深く見守り、なおもいじめが継続する場合には、加害者側の児童・生徒の保護者も交えて話し合い、「今後なおも継続する場合には、児童相談所等へ通告する可能性がある。」旨を明示し、必要があれば加害者側児童・生徒の出席停止措置を講ずること

4.その後も更にいじめが継続する場合には、学校内での対処の限界を超えるものとして、警察や家庭裁判所等の関係機関に通報すること

(注)事情聴取を行う場合に注意しなければならないのは、調査によっていじめが増幅される危険性があることです。教員が被害者側から事情を聴取していることを周囲の児童・生徒(特に、加害者側の児童・生徒)に知られてしまうと、「先生にチクッた。」などと言って、いじめが更に増幅する危険性がありますので、聴取の時間帯と場所を工夫しなければなりません。 周囲の児童・生徒から事情を聴取する場合にも、加害者側に知られるかもしれない可能性があることを念頭に置く必要があるでしょう。

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