給食費の滞納に関して
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給食費の滞納に関して
小学校において「給食は公費でまかなうべきである。」と言って、十分な資力があるにもかかわらず、給食費を支払わない保護者がいます。学校側として、どのように対処すべきですか。
給食を受ける児童・生徒の保護者には、その費用を負担する義務があります(学校給食法11条2項)が、昨今、資力がありながら給食費を支払わない保護者が増えているようです。
給食費の請求権はわずか2年で時効消滅するため(民法173条3号)、学校側としては速やかな対策を講じる必要があります。対処方法としては任意の支払いを求める方法と法的手続とがあります。
①任意の支払いを求める方法
任意の支払を求める方法は、学校側が保護者に対し、電話や手紙、又は家庭訪問によって支払の督促を行うものです。この方法は穏当ではありますが、保護者が相変わらず未納を続け、教員が支払の催促を続けることによって教員本来の職務に支障を来すような場合もあり得ます。
教員が支払の催促を続けることにより教員本来の職務に支障を来す場合、法的な手続を採ることになります。
②法的手続
法的手続とは、具体的には、簡易裁判所の支払督促手続(民事訴訟法382条以下)を利用することです。
これは、債権者(今回の場合では学校側)の申立てにより、その請求に理由があると認められる場合に裁判所が支払督促を発する手続です。
債務者(今回の場合では保護者側)が2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付しますので、債権者はこれに基づいて、債務者の財産を強制執行することができるというものです。
仮に債務者が異議を申し立てた場合には、通常の民事訴訟へと移行します。支払督促手続を利用する場合には事前に顧問弁護士に相談することも検討しましょう。特に、民事訴訟へ移行する場合、あるいは、その可能性が高いと思われる場合には、事前に顧問弁護士に相談すべきです。
※千葉県浦安市での例
千葉県浦安市では、平成20年度から給食費の回収業務を弁護士に委託し、支払督促手続や民事訴訟手続を行ってもらったところ、弁護士費用を上回る額を回収することができているようです。
弁護士が委託を受けた場合、その弁護士は、金融機関の場合と異なり、単に債権回収だけを行うにとどまらず、保護者に対して行政サービス等を受けるよう助言することができるため、学校側としては、保護者側との無用な衝突を避けながら必要な費用の回収を図ることができるという利点もあります。
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