部活動中の事故
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部活動中の事故
生徒ABらが所属する中学校の柔道部において、放課後、柔道の練習をしていた生徒Bが生徒Aを骨折させる事故が発生しました。事故当時、柔道部の顧問教師は職員室において会議中でした。顧問教師の責任はどうなりますか。
部活動は課外活動ですが課外活動である部活中の事故であっても、教師に法的責任が生じないとは限りません。
部活動中の事故に対する法的責任について
部活動に関して教員の法的責任を判断するポイントは
1.練習内容が危険度の高いものだったかどうか
2.生徒に対し普段から練習内容の危険性と安全策を指導して周知徹底していたかどうか
3.生徒の判断能力はどうかという3点です。
練習内容が危険度の高いものだったかどうか
百人一首部や華道部のような文化部と異なり、空手部 や柔道部、ラグビー部といった運動部では危険度の高い練習を行う場合がありますし、柔道部の練習の中でも、ランニングなどに比べて乱取り稽古は危険度の高 い練習ですから、こうした場合には、顧問の教師にはそれだけ高い注意義務が課せられます。
練習内容の危険性と安全策を指導して周知徹底していたか
危険度の高い練習が行われる場合には、この練習方法がどの程度危険なものか、危険を避けるためにはどうするかといった事前の指導を具体的に行い、危険性と安全策とを周知徹底したり、練習に教師自らが立ち会ったりすべきです。
生徒の判断能力について
高校生であれば、生徒自らが危険を予知・認識することができますが、小中学生にはそうした能力を期待することはできないので、教師が生徒任せにすることはできなくなるというように、生徒の年齢が下がるに従って教員が負うべき義務の範囲が拡大されます。
こうした事情を総合的に判断した結果、本件の場合でも、顧問の教師が練習に立ち会わなかった点に法的責任が生ずる可能性はあります。
責任の所在
1.国公立学校であれば、教師個人や学校ではなく国や地方公共団体が損害賠償責任を負います(国家賠償法1条)。
2.私立学校の場合には、教師個人や学校が損害賠償責任を負います(民法709条・715条等)。
公立学校であっても、例えばPTAが主催する補習授業の場合、学校での教育活動とは位置づけられないため、そこで発生した事故については教師個人が損害賠償責任を負います(民法709条)。
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