解雇紛争の予防と対処

解雇紛争の予防と対処

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解雇紛争の予防と対処

Q. 問題のある社員についてやむを得ず解雇する際には、どのようなことに気をつければよいでしょうか。また、解雇した社員から解雇無効を主張された場合、どうすればよいでしょうか。

A. 後々のトラブルを避けるためには、解雇ではなく、社員の任意退職の方法をとることをお勧めします。
解雇する場合には、解雇された社員が不当に解雇されたと主張し、訴訟等の紛争に発展する場合がありますので、客観的に合理的な解雇理由が存在したことや、会社が解雇を避けるために措置を尽くしたこと等を証明できるものを残しておくべきです。また、労働基準法に基づく解雇予告を行うなど、適切な手続を踏むことも必要です。
解雇した社員から解雇無効を主張された場合には、放置したり、不誠実な対応をしたりすることのないように適切に対応する必要があります。具体的な対応につきましては、弁護士にご相談ください。

1 任意退職の実現

客観的に合理的な解雇理由があったとしても、当該社員がその解雇理由の事実自体を争ったり、事実自体は認めてもこれによる解雇は不当だなどと主張したりした場合、その紛争解決に労力を費やさねばならないこととなります。
そこで、後々のトラブルを避けるため、まずは任意退職を実現する方針で対応することをお勧めします。
そのためには、社員本人と十分に話し合いを行うことが重要です。社員が納得し、任意に退職する旨の申し出を受けた場合は、忘れずに退職届を提出してもらってください。

2 やむを得ず解雇するとき

任意に退職するように促しても社員が退職しようとせず、解雇もやむを得ない場合、どのようなことに注意して解雇を行うべきでしょうか。

(1)証拠の重要性

まず、被解雇者である社員が解雇の無効を主張してきた場合にも、解雇が有効であることを主張立証することができる十分な証拠を残しておくべきです。
訴訟になった場合、解雇の有効性については、会社に主張立証責任があります。また、被解雇者である社員は、解雇当時は解雇の理由となった事実の存在を認めていても、訴訟の場面ではこれを否定するという可能性があります。これらを踏まえ、仮に解雇時には被解雇者である社員が認めている事実であっても、それを何らかの形で客観的証拠として残しておくべきです。

(2)どのような証拠を残せばよいか

例えば、勤務成績・欠勤日数など勤務状況が不良であることを示す記録・データ等があれば、客観的な裏付け資料として適切に保存しておくべきでしょう。
また、被解雇者である社員が問題ある行動を起こしたという場合には、口頭ではなく書面の形で注意をし、その書面を証拠として保存しておくことも考えられます。このような書面が複数残っており、会社としては一度きりの問題行動を理由として解雇したのではなく何度も注意を行うなどして解雇以外の解決方法を最大限模索したということが証明できれば、解雇の有効性を裏付ける一つの事情として会社に有利となります。
かかる書面の記載内容については、最初は単に社員の問題行動を指摘しこれに対し改善を促すような文面で構いませんが、同様の問題行動を繰り返していることを注意する際には、改善されない場合には相応の処分を加えることを示唆するなど、警告を含めるべきでしょう。解雇を含めた処分の可能性もあることを指摘したにもかかわらず社員の行動に改善が見られなかったことは、解雇の有効性を判断する上で、会社に有利な事情の一つとなると考えられます。

3 解雇手続

後に紛争にならないようにするためには、適切な解雇手続を踏むことも重要です。
解雇する場合には少なくとも30日前に解雇の予告を行わなければなりません。予告をしない場合には、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないとされています(労働基準法20条1項)。これは懲戒解雇の場合も同様です。
ただし、労働基準監督署に解雇予告手当の除外申請をし、これが認められた場合には支払は不要となります。
なお、解雇の意思表示は、法律上は書面によるものでも口頭によるものでも構わないとされていますが、通知の有無やその時期が争われたときのことを考え、書面によって通知しておくのがよいでしょう。到達の有無が争われるリスクを考えれば、配達証明付郵便にて行うのがより望ましいです。

4 解雇した社員から解雇無効を主張された場合

被解雇者である社員から解雇無効を主張された場合、まずは、当該社員がどのような理由で解雇無効を主張するのかを確かめることが必要です。
解雇理由に争いがあるのか、解雇の際の手続的瑕疵を問題としているのか、また、どのような事実を主張しているのかによって、会社側がとるべき対応も変わります。
どのような理由で解雇無効を主張するのかが不明である場合は、どのような理由に基づいて解雇無効を主張しているのか明示することを求める書面を被解雇者である社員に送ることが考えられます。
社員の解雇無効の主張をそのまま放置してしまうと、突然に解雇無効の訴えを提訴されるおそれもあります。また、不誠実な対応をした場合、そのような対応をしたことを理由とする慰謝料を請求されるおそれもありますので、放置したり、不誠実な対応をしたりすることのないように適切に対応すべきです。
個別の事案において具体的にどのような対応が必要であるかについては、弁護士にご相談ください。

5 当事務所による対応例とそのメリット

詳しい事情を伺ったうえで、当該事案に応じて
①まず解雇の理由が客観的に合理的であると判断されるものか
②解雇するための手続はどのような流れで行えばよいか
③解雇後に紛争とならないためには具体的にどのような点に気をつければよいか、どのようなものを証拠として残しておくべきか
等を法的観点よりアドバイスします。

解雇された社員が、不当解雇であるとして賃金や損害賠償の請求を行ってきた場合には、私たち弁護士が、御社の代理人として交渉にあたることが可能です。

上記アドバイスに基づき対応したにもかかわらず訴訟を提起された場合には、事情をよく把握している私たち弁護士が、御社の訴訟代理人として、御社の対処が適切であったことを主張することが可能です。
なお、事前のアドバイスを受けずに解雇を行い訴訟提起されてしまった場合にも、私たち弁護士が、御社の訴訟代理人として、できる限り御社の行為の正当性を主張し、御社の受ける不利益が少なくなるよう最大限努力します。

お困りの方は湊総合法律事務所までご相談ください。

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