取締役の報酬の減額

取締役の報酬の減額

Q1.当社の取締役の報酬を任期の途中で一方的に減額したいのですが、
法律的に問題はないですか?

A1. 任期途中での一方的な報酬減額はできません。

これは大変よくきかれる質問です。

特に中小の同族会社において会社内部で経営権の争いがあるような場合に、反対派である取締役の報酬を減額ないし無報酬にして最終的に会社から排除していきたいという思惑があるケースで問題となることが多いです。

従来、様々な裁判例や見解が出されてきましたが、平成4年に最高裁判例が出されて、この問題に一応の決着がつけられました。

最高裁(平成4年12月28日判例)は、次のような理由で、会社側による任期途中での一方的な報酬減額を否定しました(実際の事案では無報酬にすることが争われました)。すなわち、

法律の定める手続(定款または株主総会の決議で定める必要がある。会社法361条第1項)に従って取締役の報酬が具体的に決定されると、その報酬額は、会社と取締役との間の契約内容となる。

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契約当事者である会社と取締役の双方を拘束することになる。

Q2.では、取締役の任期途中で株主総会を開催し、この取締役の報酬を
減額する総会決議をしたとしても減額できないのでしょうか?

A2. できません。

前記の最高裁は、上記に続けて、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束する。

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その後株主総会がこの取締役の報酬についてこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない。と判断しました。

Q3.では、この取締役が、常勤から非常勤に変わり職務内容が大きく変更された
場合にも、一方的に報酬を減額できないのですか?

A3. 職務内容が大きく変更された場合であっても、一方的な報酬減額はできません。

最高裁は、この点について、前記に続けて「この理は、取締役の職務内容に著しい変更があった場合であっても異ならない」と判断しました。

このように、実務上は、取締役の職務内容に著しい変更があった場合であっても、当該取締役の同意がない限り一方的に報酬を減額することができないとされています。

以上より、会社としては、取締役の任期中は、当該取締役の同意がない限り、定款又は株主総会で決定された報酬を支払わないと違法であるということになります。

会社側が不用意に報酬の支払いを拒むと、取締役が報酬請求権を保全するために会社財産に対して仮差押などを行うことで、金融機関等からの借入金債務の期限の利益を喪失してしまう事態も生じる危険性があるので、注意が必要です。

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