退職者による顧客情報・機密情報の持ち出しへ会社が取るべき対抗措置とは?営業機密トラブルへの損害賠償

退職者による顧客情報・機密情報の持ち出しへ会社が取るべき対抗措置とは?営業機密トラブルへの損害賠償

タイトル

退職者による顧客情報・機密情報の持ち出しへ会社が取るべき対抗措置とは?営業機密トラブルへの損害賠償

【ご質問】

Q:退職者が当社の顧客情報を用いて他社で営業していることがわかりました。当社では退職後の秘密保持義務や競業避止義務を課していませんが、情報の使用を止めさせたいと思っています。取り得る対抗措置はないのでしょうか?

【弁護士からの回答】

A:従業員の在職中・退職後にかかわらず、その行為が不正競争防止法2条7項に定める営業秘密の漏洩行為を伴う場合には、当該漏洩行為の差止(同法3条)、損害賠償(同法4条)及び謝罪広告などの信用回復措置(同法14条)を求めることができます。

もっとも、上記の措置を採るためには、漏洩された情報が、同法の「営業秘密」として認められる必要があります。そして、同法の「営業秘密」として認められるためには、①秘密として管理されていること(秘密管理性)、②事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)、③公然と知られていないこと(非公然性)の三要件を満たす必要があります。

特に問題となるのが、①秘密管理性であり、当該情報にアクセスできる従業員が限定されていたり、資料に秘密情報であることが明記されていたりなど、客観的に秘密として管理されていた状況を企業側が立証しなければなりません。

また、退職後の競業行為について、原則として競業避止義務を定める合意がない場合には競業行為自体を違法と捉えることはできません。ただし、「社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様で元雇用者の顧客を奪取したとみられるような場合」(最高裁判所平成22年3月25日判決)など、競業行為の背信性によっては、競業避止義務を負う旨の特約がなくとも不法行為に基づく損害賠償請求ができる場合があると考えられています。

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競業避止及び秘密情報に関するご質問

1.退職者が当社の顧客情報を用いて他社で営業していることがわかりました。当社では退職後の秘密保持義務や競業避止義務を課していませんが、情報の使用を止めさせたいと思っています。取り得る対抗措置はないのでしょうか?

2.在職中の従業員が、当社との合意に反して、同業他社を立ち上げ、当社の顧客情報を持ち出して営業していることがわかりました。法律上どのような対抗手段がありますか。退職後の元従業員の場合はどうでしょうか。

3.当社では、就業規則で従業員に秘密保持義務及び競業避止義務を課しており、また退職者には誓約書を提出してもらい、退職後も同様の義務を課していますが、これに違反する従業員もおり困っています。このような誓約書の実効性を高めるために、どのような手段が考えられますか。

4.当社と退職者との間で、「退職後も当社の秘密情報を第三者に漏洩しない」との合意書を交わした場合、その後も当社の秘密情報は守られるのでしょうか。

5.従業員から、「退職後は一切同業他社へ就職しない」と記載した合意書を提出させておけば、退職後の同業種への転職を確実に防ぐことができますか。

6.元従業員が、退職後、当社と同業種の会社を立ち上げ、営業していることがわかりました。顧客を奪われないよう、すぐに営業をやめるよう求めることはできますか。

7.在職中の従業員から会社の秘密情報や個人情報が漏洩しないようにするために対策できることはありますか。

8・在職中の従業員が、当社と同業の副業を始めたようです。当社では、就業規則などに同種の副業を禁じる規定はおいていませんが、止めることはできますでしょうか。

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