【解決事例】妊娠・出産に関するハラスメントを早期解決した事例

【解決事例】妊娠・出産に関するハラスメントを早期解決した事例

タイトル

企業規模

従業員数40名~100名、非上場企業

相談者

役員

依頼前の状況

会社に対して妊娠したことを報告した社員に対して、職場の上司が、当該社員をシフトに入れないという対応を行った。上司としては、当該社員の職務が肉体労働を伴うものであったことに加え、もともと当該社員が、精神疾患により休職していたところから職場復帰をしてまだ間もない時期であったため、当該社員の精神的及び身体的負担を考慮しての対応であった。そうしたところ、当該社員は、弁護士を通して、会社に対して、上司の対応は、退職勧奨にあたり、退職勧奨には応じられないこと、自分は就労できるため、速やかにシフトに入れて欲しいこと、及びシフトに入れてもらえない期間について賃金相当額の請求をすることを主張してきた。

その後、会社も代理人を立てて協議することとなった。

解決までの流れ

代理人間の交渉の結果、当該社員は、そのまま自主退職し、シフトに入っていなかった期間の賃金相当額の請求については、早期解決の観点から、当該期間である1か月分の給与を支払うことで和解し、解決した。

解決のポイント

会社は、ノーワークノーペイの原則から支払には応じない意向であった。会社側の考えも理解できたが、男女雇用機会均等法及び厚生労働省令上、事業主は、女性労働者の妊娠等を理由に解雇したり、不利益取扱いをしたりしてはいけないことになっており、就労意欲を見せている女性労働者に対して、会社がシフトを減らす又はシフトに入れないという対応は、それが当該社員の健康状態等を勘案してなされたものであったとしても、不利益取扱いと認められる可能性がある。また、労働義務の履行不能について会社に帰責性があると認められる可能性もあるため、これらのリスクについて説明した。その結果、会社側としても、紛争の長期化と複雑化を防ぎ早期解決を実現した方が良いというご判断を頂けることになり当該社員との和解となった。

解決するまで要した期間

約4か月

弁護士からのコメント

女性従業員の妊娠が判明した場合に、当該従業員の業務が力仕事であるとき等、会社側が母体の安全を考慮してシフトから外す対応をすることがあり得ます。従業員のために良かれと思ってしたことでも、従業員側は労働の意思があった場合には、妊娠等を理由に不利益取り扱いを受けたとかハラスメントであると主張されたり、債務不履行であると主張されたりすることがあります。

妊娠・出産等へのハラスメントに対しては、男女雇用機会均等法11条の3や育児・介護休業法25条などで防止措置を講じるように定められています。妊娠等の事実を認識したときは、当該女性従業員の意向もよく確認しつつその後の業務のあり様を決めていくなど、心掛けていく必要があるように思います。このような取組みは、SDGsや人権DDガイドラインの考え方を取り入れることにも繋がります。

 

 

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