債権回収の手段と手続きの流れ(取引先の支払いが停止した時)

債権回収の手段と手続きの流れ(取引先の支払いが停止した時)

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債権回収の手段と手続きの流れ(取引先の支払いが停止した時)

Q.取引先からの支払いが、ここ数ヶ月間まったくなくなってしまいました。
「売掛債権を譲渡するから、それで勘弁してくれないか」と言われ、それ以外には交渉にも応じてくれなくなってしまいました。
このような場合どのような手段によって回収すれば良いでしょうか?

 

A.まずは内容証明郵便において請求しますが、通常はそれだけでは支払われませんので、訴訟等の法的手続きを使って回収するしかありません。
人的・物的担保があればその実行を併せて行うことになります。

 

1.内容証明郵便

内容証明郵便により通知書を送付して請求します。
内容証明郵便であれば、文書の内容や差出日が公的に証明されますから、後日、訴訟になっても、相手方が請求を受けていないなどと言い訳できなくなります。
また、口頭や普通郵便で請求する場合よりも、相手方に対して強い請求意思が伝わり、相手方が請求に応じる可能性もあります。

 

2.代物弁済の交渉

代物弁済とは本来の債務の履行の代わりに別なもので弁済したことにする契約のことです。
債権者に取引先の有する商品等を転売する能力がある場合などは、取引先の商品を、本来の債権の「代物」として弁済を受けて債権の満足を図る場合があり得ます。
但し、本来の債権額より何倍も実質価値がある商品等で代物弁済を受けた場合には、暴利行為として公序良俗に反して無効とされる場合がありますので、注意してください。

代物弁済としてよく行われるのが、債務者が第三者に対して有する債権の譲渡を受ける場合です。
この場合に注意すべきことは、代物弁済として債権譲渡された第三者に対する債権の回収に失敗して、ほとんど弁済を受けられなかったとしても、代物弁済により本来の債権はすでに消滅してしまっているので、差額の請求はできないということです。
ですから、そのようなことにならないためにも、代物の額が本来の債権より少ない場合には債権の一部のみを消滅させるといった文言を契約書に盛り込むことが必要です。

3.民事調停

調停とは、裁判所において、裁判官、民間人の調停委員、当事者が和解に向けて話し合う手続です。
当事者間では話し合いがまとまらなくても、裁判所を通じて和解が成立する場合があります。
精神的にも、手続き的にも、訴訟で争うよりはるかに楽です。
また、当事者が和解するのですから、解決内容も、互いの実情に沿ったものとできますし、合意に基づくものですので、債務者が任意に履行してくれることが期待できるというメリットがあります。

民事調停も、確定判決と同様の効力を有していますから、債務者が不履行の場合には、強制執行することができます。
調停は、話し合いを行うための制度ですから、最終的に当事者間で合意に至らなければ、手続は終了します。
その場合は、他の強制力ある手段によって解決を図ることになります。

4.支払督促

支払督促とは、簡易裁判所に対し、債権者の一方的な申立に基づいて、督促手続をしてもらう方法です。
この場合、支払督促が相手方に郵送されて2週間以内に相手方が異議を出さない場合には、相手方の財産に対して強制執行をすることが可能となります。
しかし、相手方が異議を出してくれば支払督促は効力を失い、通常の訴訟に移行することになります。

このように支払督促は、早く(強制執行まで2ヶ月くらい)、簡単に、安く、訴訟をせずに強制執行まで行うことができ、とても使いやすい制度です。

5.少額訴訟

少額訴訟は、簡易裁判所で行われる訴訟手続で、60万円以下の金銭の請求について、通常の訴訟よりも審理手続を簡易化し、1回の期日で集中して審理を行い、判決も原則としてその日に出す手続です。
通常の訴訟に比べてかなり簡略化された手続ですから、相手方がこのような簡易な手続きに反対し、異議を出せば通常の裁判に移行します。

少額訴訟も、早く、簡単に、安く行うことができ、少額の回収をする場合にはとても便宜な制度ですし、弁護士をたてなくても十分に行うことができます。

6.裁判所での訴訟

140万円以下の金銭のトラブルは、簡易裁判所で訴訟をします。
通常の訴訟に比べて手続きは簡易になっています。
大体のトラブルに関しての訴状について、定型の用紙があります。しかも、記入例がついているのでとても便利です。
簡易裁判所に行くと雛形がおいてある場合がありますから近くの簡易裁判所に電話して調べてみて下さい。

一方、140万円を超える金銭のトラブルや不動産に関する争いは、地方裁判所において争われることになります。
このレベルになると、相当複雑な手続になりますので、本人で解決することはとても難しいことになります。
早めに弁護士に相談して対応を協議することをお勧めいたします。

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