取締役の背任行為訴追を回避して独立開業する道について

取締役の背任行為訴追を回避して独立開業する道について

タイトル

取締役の背任行為訴追を回避して独立開業する道について

ご質問内容

現在ベンチャー企業の取締役ですが、社長との折り合いが悪くなったので、スピンアウトして独立開業を考えています。

1.取締役の辞表提出は、内容証明郵便着日で有効か?口頭辞意表明時点に遡れるか?
2.取締役の辞任が確定するのは、辞表提出時か?それとも取締役会承認時か?
3.取締役メンバー変更に伴う登記の変更は、いつまでに実施すべきか?
4.私が取締役を辞任することで、取締役の数が足らなくなり、背任行為となってしまうのではと危惧しています。

当事務所の回答

1.取締役の辞表提出は、内容証明郵便着日で有効か?口頭辞意表明時点に遡れるか?

取締役と会社との関係は、委任契約です。
その解除は、告知によって行うことができ、一方的に辞任の意思表示が代表取締役に到達した時点で成立します。
ですので、口頭で辞意を表明した時点で成立ということになります。
ただ、注意が必要なのはその先で、本件では、口頭で辞意を表明した時点では、まだ辞任の意思が確定的ではないのではないかと思われることと、そもそも、口頭で辞任の意思を表明したことをどのように証明することができるのかということです。特に後者については、社長が否認した場合には証明のしようがなく、訴訟では認定されないことになると思われます。
また、会社にとって不利な時点で辞任すると、損害賠償請求されることもあり得ますので、注意が必要です。

2.取締役の辞任が確定するのは、辞表提出時か?それとも取締役会承認時か?

上述のとおり、辞任の意思表示が代表取締役に到達したとき、つまり辞表提出時です。
ただし、辞任により取締役の最低員数を下回ってしまうときは、辞任の意思が到達した後といえども、新たに選任された取締役が就任するまで、なお取締役としての責務を果たす必要があります(会社法346条1項)。
したがって、この場合には、辞任の意思が到達した後であっても、競合会社設立行為は、競業避止義務違反となってしまいます。

3.取締役のメンバー変更に伴う登記の変更は、いつまでに実施すべきか?

退任後、できるだけ早く行うべきです。
登記が残っている場合、退任した取締役も、表見法理によって取締役として扱われてしまうことがあるからです。

4.私が取締役を辞任することで、取締役の数が足らなくなり、背任行為となってしまうのではと危惧しています。

辞任は自由ですので、辞任自体が背任行為になることはないと考えられます。
ただし、辞任により取締役の最低員数を下回ってしまうときは、新たに選任された取締役が就任するまで、なお取締役としての責務を果たす必要があります(会社法346条1項)。
 

 

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