倒産した企業の持っていた知的財産権に関して

倒産した企業の持っていた知的財産権に関して

ご質問内容

ある種の中古家庭用電化製品の通販を始めたいのですが、その際、集客用のコンテンツとして、かつて日本で製造されたその種の製品をリスト化し無償で公開するかもしくは電子書籍として販売するかを検討しています。

このコンテンツを作るにあたりいくつか確認したい点が出て来ましたので、ご相談させて下さい。

①このコンテンツを有償・無償に関わらず公開するにあたり現存する全てのメーカーへ商標の使用に関する承認は必要なのでしょうか?

②記事のもととのなるのはかつて存在していた社団法人の発行した印刷物ですが、そこにはその年に発売されているほぼ全ての家庭用電化製品のメーカーから提供された商品仕様をまとめたスペック表と画像が掲載されています。
これらのデータは著作物なのでしょうか?もし著作物であれば団体が解散した今、それらの著作権はどうなっていると考えたら宜しいでしょうか?

因みにこの団体の後継的位置付けとなる一般社団法人では、「このカタログ関連では引き継いではおらず、規約、統計などの一部の財産は継承しております」との回答を得ました。ニュアンス的にはこの発行物は含まれてはいないようです。この確認についてアドバイスを頂きたく思います。

③コンテンツを作るにあたり、現存するメーカーさんに対しては画像やデータの利用に関しご協力のお願い等可能ですが、倒産・廃業したメーカーさんの場合、発行していた著作物(例えばカタログ等)の使用や意匠権はどのように考えたら宜しいでしょうか?

当事務所の回答

①商標権について

商品に標章を付する行為は,商標の「使用」(商標法2条3項1号)に該当する可能性があります。
「使用」は有償・無償を問いませんので,標章を付する際には,商標権者の許諾が必要です(商標法25条)。
御相談の方法が「使用」に該当するか否かは,商標の表示の仕方によります。
例えば,他メーカーの家庭用電化製品の写真を御社のネット上に掲示し,当該製品に付された商標は御社のものであると誤解を招いてしまうような表示をした場合,商標が持つ「出所表示機能」を害すると判断される可能性があります。
その場合,そうした表示は商標の「使用」にあたり,上記のとおり,商標権者の許諾が必要となるわけです。

②著作権について

「著作物」か否かを見分けるポイントは,平たく言えば「人が創意工夫を加えたか否か」です(著作権法2条1項1号)。
一般に,書籍・雑誌等を制作し,その中に一覧表を掲載する場合,著者や編集者としては,その一覧表に何を掲載するか,どの順序で掲載するか,どのような一覧表であれば見やすいかといった工夫をしている場合が多いといえます。
したがって,本件のスペック表についても,商品の取捨選択,掲載順序,表の作り方等の点で,人の思考や独自性が認められるものであれば「著作物」に当たります。
写真についてもやはり同様で,被写体自体は単に客観的事実(客観的存在)ですが,どの商品を,どの角度から,どのような陰影を付けて,いかなる背景を用いて撮影するか,といった点に工夫がある場合が多く,「著作物」に該当する可能性が高いといえます。
もっとも,著作権者である法人が解散し,その法人を承継する者がいない場合,著作権は消滅します(著作権法62条1項2号)。
ですから,大切なことは,社団法人が解散した後,これを承継する者がいるか否かをしっかりと確認し,承継者がいる可能性がある場合には,その方あるいは会社に対して問い合わせることです。

③倒産・廃業後の取扱いについて

発行していた著作物(例えばカタログ)の著作権が誰に帰属していたのかが問題です。
廃業したメーカー自体が制作したものであれば,そのメーカーが著作権を保有していたものと思われますので,仮にそうであれば,②で述べたとおり,そのメーカーの解散により,これを承継する者が著作権も承継し,承継する者が誰もいなければ著作権は消滅します。
意匠権についても同様ですが,意匠権は登録して初めて権利が発生する(意匠法20条1項)ものですので,そもそも,その家庭用電化製品の形状等につき意匠権が登録されているか否かを先に確認する必要があるでしょう。

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