株主総会参考書類等の電子提供制度を導入したい

株主総会参考書類等の電子提供制度を導入したい

現在、株主総会の招集に際して株主に提供する資料は、個別の株主の承諾(会社法299条3項)がない限り、書面で交付しなければならないこととなっています。しかし、株主の多い企業では印刷コストが大きな負担となっており、ウェブサイトへの掲載などの電子的な提供により書面交付を省略できる制度を設けることが要請されていました。

このような要請をふまえ、今後の会社法改正により株主総会資料の電子提供を認める制度が導入される予定となっています。同制度の内容については、2019年1月16日、法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会において取りまとめられた「会社法制(企業 統治等関係)の見直しに関する要綱案」にて以下のとおり示されています。

 

1 電子提供制度を利用するためには

株式会社は、定款でその旨の定めをおくことにより、株主総会参考書類その他株主総会の招集に際して株主に提供すべき資料(以下「株主総会参考書類等」といいます)を電子的に提供する措置(以下「電子提供措置」といいます)をとることができます。

「株主総会参考書類等」とは、具体的には①株主総会参考書類②議決権行使書面③計算書類及び事業報告④連結計算書類です。すなわち、株主総会の日時・場所、目的である事項などを記載した狭義の招集通知については、株主に郵送しなければなりませんので注意が必要です。また、議決権行使書面については、一切送付をせずに電子提供のみとした場合には議決権行使比率の大幅な低下が予想されますので、実務上は送付する会社が多いと思われます。

なお、この制度は上場会社・非上場会社を問わず採用できますが、上場会社については当該定款の定めをおくことが義務づけられ、改正法施行日の時点で上場会社である会社は、施行日を効力発生日とする定款変更の決議をしたものとみなされます。非上場会社についてはこの制度を採用するには定款変更決議をすることが必要となります。

 

2 電子提供制度の概要

■電子提供措置の期間

電子提供措置を採用する株式会社は、株主総会の日の3週間前の日(それより前に招集通知を発送する場合は招集通知の発送日)から総会の3か月後の日まで、電子提供措置を実施する必要があります。

 

■招集通知の発送期限

電子提供措置を採用した会社の招集通知の発送期限は、株主総会の2週間前までとなります。なお、現行法上、非公開会社については招集通知の発送期限は株主総会の日の1週間前までとされていますが、非公開会社が電子提供措置を採用する場合には、2週間前までに発送しなければなりませんので、注意が必要です。

 

■書面交付請求権

電子提供措置が採用されている会社であっても、株主が株主総会参考書類等について書面による情報の提供を希望する場合には、書面による送付を受けることができます。

書面での提供を希望する場合、当該株主は、株主総会の議決権行使の基準日までにその請求をしなければなりません。

 

■議決権行使の促進に向けて

電子提供措置を採用する会社では、株主総会参考書類等はウェブサイトなどに掲載され、株主のもとに届くのは、狭義の招集通知と議決権行使書面のみとなるでしょう。

印刷コストの削減、書面の早期開示などの利益のある制度ではありますが、株主としては、主体的にウェブページを見に行かなければ参考書類の内容がわからず、議決権を行使するモチベーションが低下する可能性があります。企業において、議決権行使比率を高めていくための工夫を合わせて行うことが必要となっていくでしょう。

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