委託業者が不法投棄した責任

委託業者が不法投棄した責任

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委託業者の不法投棄責任

委託先の産業廃棄物処理業者が不法投棄を行っていた場合、我が社は、何らかの責任を問われることになるのでしょうか?

場合によっては、都道府県知事から措置命令が出されることで、排出事業者が不法投棄された産業廃棄物の除去等の責任を負うことがあります。

具体的には、①排出事業者が産廃処理について適正な対価を負担していなかった場合や、②排出事業者が委託基準違反の当該処分が行われることを知ることができた場合等が挙げられます。
そこで、排出事業者が上記のような責任を負うことがないようにするためにはどうしたら良いかを検討するため、①、②の場合について具体的に説明したいと思います。

1 排出事業者が産廃処理について適正な対価を負担していなかった場合に当たらないためにはどうすれば良いか?

(1)「適正な対価を負担していないとき」とは?
 「適正な対価を負担していないとき」とは、産業廃棄物を一般的な方法で処理するために必要とされる料金(以下「処理料金」といいます。)に照らして著しく低廉な処理料金で委託することをいいます。
「適正な対価を負担していないとき」にあたるかどうかについての具体的な目安としては、標準的な処理料金の半分程度又はそれを下回るような処理料金(以下「不適正料金」といいます。)で処理委託を行っているかどうかということが考えられます。

(2)具体的対処法について
確かに、産業廃棄物の処理にかかる費用は安ければ安いほどいいようにも思われますが、上記のような不適正料金で産業廃棄物の処理委託をしてしまうと、結果として、排出事業者が不法投棄された産業廃棄物の除去等の責任を負うことになるという高い代償を支払わなければならないことにもなりかねません。
そこで、自社の産廃の処理にかかる処理料金が「適正な対価を負担していないとき」にあたらないようにするために、標準的な処理料金を調査することが必要といえます。

具体的には、まず、複数の処理業者に見積もりをとるなどして、自社の周辺地域における大まかな標準的な処理料金を調査して、自社が委託する際の処理料金が当該標準的な処理料金と比較して著しく低廉な処理料金で処理委託をしていないかをチェックします。
さらに、周辺地域における標準的な処理料金を調査した後に、全国の他の地域の標準的な処理料金をインターネットなどで調査します。

そうすれば、地域ごとの大体の標準的な処理料金を参考にして、自社の処理料金が不適正料金でないかを判断すると良いでしょう。そして、もし「適正な対価」にあたるかどうかの判断に迷った際には、廃棄物処理法に詳しい弁護士に見解を尋ねるのも一つでしょう。

2 排出事業者が委託基準違反の当該処分が行われることを知ることができた場合に当てはまらないためにはどうすれば良いか?

(1)「当該処分が行われることを知ることができた」とは?
「当該処分が行われることを知ることができた」とは、排出事業者において、一般通常人の注意を払っていれば不法投棄等の処分が行われることを知り得たと認められる場合をいいます。
具体例としては、産廃処理業者が、以前に改善命令等の行政処分や立入検査等を受けたことがあるなど、不法投棄等が行われる可能性が客観的に認められる状況があったにもかかわらず、排出事業者がそのような客観的な状況について調査することなく、当該産廃処理業者に対し処理委託を行ったり、継続中の処理委託契約について解約等の措置を採らなかったため、結果として不適正処理が行われた場合が該当すると考えられます。

(2)具体的対処法について
排出事業者が委託基準違反の当該処分が行われることを知ることができた場合にあたらないためには、ⅰ委託先の産廃処理業者の最終処分場の残余容量を把握する、ⅱ中間処理業者がある場合には、中間処理業者と最終処分業者との間の委託契約書についても確認する、ⅲ委託先の産廃処理業者の処理実績や処理施設の現況を確認するなどの具体的な措置を定期的に採ることが必要といえるでしょう。ここで、ⅱの委託契約書の確認については、廃棄物処理法上問題がないかなどを、廃棄物処理法に詳しい弁護士にチェックを依頼するのも良いでしょう。

 

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