廃棄物処理に関する「よくあるご質問」

廃棄物処理に関する「よくあるご質問」

タイトル

Q1 抜き打ちで実施した社内調査により、ある事業所において、廃棄物処理法に違反する事実があることが判明しました。この場合、どのように対応したら良いか?

A1 判明した廃棄物処理法に違反する事実について、仮に罰金刑以上の刑に処せられてしまうと、廃棄物処理法に規定する欠格事由に該当する結果、業許可や施設設置許可が取り消され、会社にとっては企業存続に関わる大きなダメージを受けることとなります。行政当局による立入検査ではなく、社内調査によって、そのような事実が発覚した場合には、廃棄物処理法に詳しい専門家と協議の上、行政当局に対する対応を速やかに行うことで、違反によるダメージを抑えられることがありますので、廃棄物処理法に詳しい専門家に相談することが肝要といえます。
 
 

Q2 産業廃棄物収集運搬業を営む当社の事業所に対して、突然、廃棄物処理法に基づく立入検査が行われました。立入検査の結果、廃棄物処理法に違反している旨の指摘を受けるとともに、報告書を提出するよう求められました。この場合、どのように対応したら良いか?

A2 行政当局から求められた報告書を提出するのにとどまらず、その後に起こり得る事態に備えることが必要といえます。具体的には、既に廃棄物処理法違反の事実を指摘されている場合には、事案によっては、刑事事件に発展するおそれも否定できず、罰金刑以上の刑に処せられることで業許可が取り消される事態が起こり得ます。ですので、刑事事件やその後の許可取消に発展する場合に備えて、刑事事件やその後の許可取消への対応について、早めに弁護士に相談することが肝要といえます。
 
 

Q3 廃棄物かどうかの判断はどのようにすればよいでしょうか?

A 廃棄物処理法に規定する廃棄物に該当すると、廃棄物処理法の規定が適用されることになりますので、ある物が廃棄物かどうかの判断は重要であるといえます。
まず、廃棄物処理法2条1項において、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。」と定義されております。
上記のうち、「不要物」にあたるかどうかの判断基準については、「自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になった物をいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決するのが相当である」と最高裁において示されております。
もっとも、不要物にあたるかどうかについては、総合的に判断するということですので、その判断に悩むことは多いものと思料いたします。
当事務所では、廃棄物にあたるかどうかの判断について、法律意見書を作成するなどのリーガルサービスを提供いたしますので、お気軽にご相談ください。
 
 

Q4 いわゆる「専ら物」を処理委託する際には、委託する業者について業許可が不要であるとのことですが、委託契約書も作成しなければいけないのでしょうか?

A 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集運搬や処分を専門に取り扱う業者に処理を委託する場合、具体的には、古紙、くず鉄、あきびん類、古繊維の処理を委託する場合、産業廃棄物の処理委託となる以上、委託基準が適用されますので、委託契約書を作成する必要があります。これに対し、これらの処理を委託する際にマニフェストを交付する必要はありません。
 
 

Q5 措置命令とはどのようなものでしょうか?

A 廃棄物処理法に違反する廃棄物の処理によって、生活環境保全上の支障及びそのおそれが発生している場合、その支障の除去又は発生の防止のため、廃棄物の回収などの必要な措置をとるよう命じることができ、措置命令に違反すると、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はこれを併科されることがあります。
そのため、万一、措置命令を受けてしまった場合には、その対応につき、廃棄物処理法に精通する専門家に相談することが肝要といえます。
 
 

Q6 措置命令の対象となるものとして、どのようなものが挙げられますか?

A 措置命令の対象となるのは、①処分を行った者、②委託基準に反した委託をした者、③マニフェスト義務違反者(例えば、マニフェストを交付しなかった者など)、④廃棄物処理法に違反する行為を要求し、幇助するなどの行為をした者、⑤不適正な処分をお子成った者等に資力がない場合に、排出事業者が処理費用に関し、「適正な対価を負担していないとき」「不適正な処分が行われることを知り又は知ることができたとき」が挙げられます。
 
 

Q7 排出事業者が処理費用に関し、「適正な対価を負担していないとき」には措置命令の対象となるとのことですが、「適正な対価」とはどのようなものでしょうか?

A 「適正な対価を負担していないとき」について、「行政処分の指針について」(平成25年3月29日環廃産1303299号)によれば、一般的な処理料金の半値以下とされております。一般的な処理料金については、複数の処理業者から見積もりを取得したり、インターネットにより情報を入手したりすることで把握することが考えられます。
 
 

Q8 返送されたマニフェストに虚偽の記載があることが判明した場合、どのように対応したら良いか?

A 虚偽の記載があるマニフェストの写しの送付を受けたときは、排出事業者は、そのマニフェストに関する産業廃棄物の運搬又は処分の状況を確認するとともに、生活環境保全上の支障の除去又は発生防止のために必要な措置を講じることが求められます。また、排出事業者は、虚偽の記載があることを知った日から30日以内に措置内容等報告書を提出する必要があります。
そして、これらに違反した排出事業者については、措置命令の対象となってしまうことに注意が必要です。
 
 

Q9 自社工場から排出された金属くずを敷地内で野積みすることは問題ないでしょうか?

A 自社工場の敷地内で金属くずの野積みが行われていた場合で、その態様、期間等に照らしても、仮置きなどとは認められず、不要物としてその管理を放棄したものと評価される場合には、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るとの法の趣旨に照らし、社会通念上許容されず、「みだりに廃棄物を捨て」る行為に当たるとして、不法投棄として廃棄物処理法16条に違反することになります。
なお、その罰則については、行為者については、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその併科、法人については3億円以下の罰金という重い刑罰となっている点に留意する必要があります。
 
 

Q10 廃棄物処理法32条の両罰規定とはどのようなものでしょうか?

A 法人の代表者又は法人若しくは人の従業者等が、法人又は人の業務に関し、違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても罰金刑を科されることになります。これは、従業員等の違反行為を防止するために、事業主が従業員の選任、指導・監督等に十分な注意を尽くさなかった過失を推定することにより、事業主を罰するものといえます。
 
 

Q11 建設工事現場において、従業員が発生した廃材を使ってたき火をすることがあるのですが、何か問題はないでしょうか?

A 廃棄物処理法16条の2において、何人も、①廃棄物処理基準に従って行う焼却、②他の法令又はこれに基づく処分により行う焼却、③公益上又は社会慣習上やむを得ないもの、生活環境への影響が軽微なものとして、いずれも政令で定める焼却による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない旨規定されております。このうち、たき火については、上記政令で定められているのですが、それは「日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なもの」であることが求められております。
ですので、たき火といっても、黒煙や悪臭等を発生させるような廃棄物の焼却は、「日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なもの」に当たらない以上、禁止の例外とされているたき火には該当しないとして、廃棄物処理法16条の2の不法焼却の禁止に違反する場合があることに注意が必要といえます。
なお、その罰則については、行為者については、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその併科、法人については3億円以下の罰金という重い刑罰となっている点に留意する必要があります。
 
 

Q12  当社の取締役が道路交通法違反で逮捕・勾留されてしまいました。産業廃棄物収集運搬業の許可に影響はないでしょうか?

A 産業廃棄物処理業者の役員が禁錮以上の刑に処せられた場合には、廃棄物処理法に定める欠格要件に該当することになりますので、当該処理業者の許可は取り消されてしまうことになります。
ここで、執行猶予付きの禁錮刑となった場合であっても、その判決が確定してしまうと、役員が禁錮以上の刑に処せられたという欠格要件に該当することに変わりはないことに注意が必要といえます。
ですので、取締役が犯した道路交通法違反について、禁錮刑以上の刑になる可能性がある場合には、その刑が確定するまでに当該取締役を解任するか、当該取締役に辞任してもらった上で、役員登記を変更することが必要といえます。

 

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