広告作成時の留意点~不当表示の代表例~

広告作成時の留意点~不当表示の代表例~

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広告作成時の留意点~不当表示の代表例~

マーケティング活動を行う上では、サービスや商品をより魅力的に、できるだけ良く見せることは非常に重要です。
しかしながら、広告や商品表示の表現が誇大であったり、過大であったり、不適切な表現をしてしまった場合、『不当景品類等及び不当表示防止法』いわゆる景品表示法違反に該当してしまうということも少なくありません。

景品表示法は、消費者を守るための法律でもありますので、後々、紛争に発展しないためにも法律を守っていただいた上で商品やサービスを魅力的に伝えることが重要です。

では、広告を作成する上でどのような点に注意しなければならないでしょうか。ここでは、景品表示法における広告表示規制についてご紹介します。

【景品表示法は、不当な表示の禁止を内容としています】
不当な表示の禁止としては、「優良誤認」(5条1項1号)、「有利誤認」(5条1項2号)、「その他誤認されるおそれのある表示」(5条1項3号)が対象となっています。
以下では、うっかり不当表示になりかねない代表的な例をご紹介します。
 

二重価格表示

例「定価8500円のところをキャンペーン価格3980円で販売」

二重価格表示とは?

二重価格表示とは、事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格、すなわち比較対照価格を併記して表示するものをいいます。「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(平成12年6月30日公正取引委員会、最終改正平成28年4月1日消費者庁)の中で、二重価格表示についての考え方が示されています。

これによれば、二重価格表示は、(1)同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行う場合や(2)比較対照価格に用いる価格について実際と異なる表示やあいまいな表示を行う場合などのように、比較対照価格の内容について適正な表示が行われていない場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがあるとされています。

×同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いる
×比較対照価格に用いる価格について実際と異なる表示やあいまいな表示

過去の販売価格を表示する際の注意点

また、例で挙げたように、過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合、当該比較対象価格が同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」であると言えないときは、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与えるため、不当表示に該当するおそれがあるとされています。

そして、「最近相当期間にわたって販売された価格」と言えるか否かは、①セール開始時点からさかのぼる8週間において、比較対象価格で販売されていた期間が、当該商品が販売されていた期間の過半を占めており、かつ、②比較対象価格で販売されていた期間が通算して2週間未満の場合又は比較対象価格で販売された最後の日から2週間以上経過している場合でないことが一応の基準とされています。

ただし、上記はあくまでも一般的な目安であり、当該比較対象価格で販売されていた時期及び期間、対象となっている商品の一般的価格変動の状況、当該店舗における販売形態等を考慮しつつ、個々の事案ごとに判断されることになりますので、個別の事案については、弁護士などの専門家に相談することをおすすめいたします。
 

不実証広告

例「食べるだけで一か月に五kg痩せます」

不実証広告とは?

景品表示法第7条第2項は、内閣総理大臣は、事業者がした表示が優良誤認(第5条1項1号)に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、この場合に、当該事業者が当該資料を提出しないときは、不当表示とみなし、措置命令等の対象とすると規定しています。

このように合理的な根拠を示す資料の提出ができない場合の広告を不実証広告といいます。
 

どのような根拠を備えておけばよい?

上記の「合理的な根拠」については、「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針―」(平成15年10月28日公正取引委員会、平成28年4月1日消費者庁最終改正)で、その考え方が明らかにされています。

提出された資料が「合理的な根拠」を示すものであると判断されるためには、(1) 提出資料が客観的に実証された内容のものであること、(2)表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していることの2つの要件を満たすことが必要です。

さらに、(1)の基準については、① 試験・調査によって得られた結果又は、② 専門家、専門家団体若しくは専門機関の見解又は学術文献であることが必要です。
 

不実証広告の具体例

例えば、「食べるだけで一か月に五kg痩せます」との見出しに加え、「○○大学△△医学博士の試験で効果は実証済み」との専門家による評価があることを表示することにより、表示全体として、食べるだけで一か月に五kgの減量効果が期待できるとの認識を一般消費者に与えるダイエット食品について、以下のような例があります。

この広告では、「合理的な根拠」として、事業者から美容痩身に関する専門家の見解が提出されましたが、当該専門家の見解は、当該食品に含まれる主成分の含有量、一般的な摂取方法及び適度の運動によって脂肪燃焼を促進する効果が期待できることについて確認したものにすぎず、食べるだけで一か月に五kgの減量効果が得られることを実証するものではなかったため、表示全体として、食べるだけで一か月に五kgの減量効果が期待できるとの認識を一般消費者に与える表示と、提出資料によって実証された内容が適切に対応しているとはいえないと判断されました。
よって、当該提出資料は表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められず、不当表示であるとの認定がなされてしまいました。

その他、吊り下げ型の虫よけ商品の効果を示す表示について、同条項に基づき、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかったとして、措置命令が下された事案が新聞などでも取り上げられ、大きな話題となりました。

この事案のように、景品表示法による措置命令が与える社会的インパクトは大きなものがありますので、十分に注意する必要があります。効果・性能に関する表示について気になる点がある場合には、弁護士等の専門家に相談することをおすすめいたします。
 
 

その他の事例

その他、以下のような事例が一般的な不当表示の例として挙げられます。

優良誤認の事例

商品・サービスの品質や規格、その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示は不当表示となります。

1 ブランド牛の表示:国産有名ブランド牛の肉だと表示をしていたが、実際には国産ブランド牛ではない国産牛の肉だった

2 健康食品の成分量:健康食品に、「〇〇成分が他社製品の2倍」と表示していたが、実際には、他社と同程度の量しか入っていなかった

3 売上No.1:「売上No.1」と表示していたが、実際には、他社と異なる条件で数値化したもので、適正な比較ではなかった

 

有利誤認の事例

商品・サービスの価格その他の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示は不当表示となります。

4 セット割引:「セット割引」と表示していたが、実施には、バラ売り価格の合計と同じだった

5 地域最安値:「地域最安値!」と表示していたが、実際には、他社の価格を調査しておらず、実は他社より割高だった

6 料金比較:数社の料金を比較して、自社が最も安いように表示していたが、実際には、比較の条件が適切ではなかった

普段使っているような表現でも裏づけが不足していたりすることで違反になってしまうケースは少なくありません。

何か不安な点がある場合や、チェックを依頼したいという場合には、当事務所の広告・プロモーションに関するリーガルサービスをご活用ください。
 

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