口約束は契約として成立する?法的な効力・注意点について弁護士が解説

口約束は契約として成立する?法的な効力・注意点について弁護士が解説

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口約束による契約について弁護士が解説

ご質問内容

1. 口約束をしただけで、契約書にはサインしていませんが、この場合でも契約は成立したことになるのでしょうか。

2.電話で約束をした場合であっても、契約は成立しますか。

3.口約束で契約が成立した場合でも、契約不履行を理由に契約を解除することはできますか。

4.電話での約束に加えて、メールで契約条項について合意をしましたが、そこには解除はできない旨が記載されていました。
(1)この場合においても、相手方の契約不履行を主張することはできますか。また、契約不履行を理由に、キャンセルもしくはディスカウントすることはできますか。
(2)この場合、契約不履行を理由に、他のサービスを追加請求することはできますか。

5.相手が口約束(契約)に違反しているにもかかわらず、これに対応しない場合はどうすればいいでしょうか。また、相手方が口約束(契約)に違反したことにより損害を被った場合にはどのような対処方法がありますか。

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当事務所の回答

1.口約束をしただけで契約書にサインはしていませんが、この場合でも契約は成立したことになるのでしょうか。

契約は、申込みと承諾の意思表示の合致により成立します。そのため、契約書にサインしていなくとも、口約束をした際に当事者の申込みと承諾の意思表示が合致していれば、契約は成立します。

このような契約類型を諾成契約といい、売買契約や賃貸借契約等、多くの契約がこの類型に該当します(反対に、当事者の意思表示の合致に加えて物の引き渡し等の給付があって初めて成立する契約を要物契約といい、書面によらない消費貸借契約等がこれに当たります)。

したがって、例えば、友人同士で物の売買や貸し借りについて口頭で約束をした場合でも、口約束のみで契約は有効に成立したこととなり、仮に当該約束に違反した場合は、契約違反により生じた損害の賠償を請求される等、法的なトラブルになる可能性もあります。

なお、以上の通り、契約書の作成は契約成立の要件ではありませんが、口約束のみの場合、契約内容に関して証拠が残らず、紛争になった際に不利になる恐れがあるため、契約書を作成し、契約内容を書面に残すことが肝要といえます。

2.電話で約束をした場合であっても、契約は成立しますか。

1.で述べたように、契約は、申込みと承諾の意思表示が合致していれば成立するため、電話で口約束をした場合でも、意思表示の合致があれば契約は有効に成立します。

3.口約束で契約が成立した場合でも、契約不履行を理由に契約を解除することはできますか。

口約束でも契約は有効に成立しますから、相手方が債務の履行をしない場合には、催告の上契約を解除することが可能です。また、相手方が債務を履行することが不可能な場合等には、催告をせずとも契約を解除することが可能です。

4.口約束に加えて、メールで契約条項について合意をしましたが、そこには解除はできない旨が記載されていました。

(1)この場合においても、契約不履行を理由に契約を解除することはできますか。

まず、メールで契約が成立した場合であっても、契約は有効に成立しているため、相手方が債務を履行しなければ契約不履行の主張をすることは可能です。
仮に、予め、契約上解除権が放棄されていたとしても、合理的意思解釈により、「相手方に契約不履行があった場合には解除できる」という意味に捉えられることが多いかと思います。例えば、売主が継続的に商品を供給し、買主が代金を支払うという内容の契約の場合、買主が代金を一切払わなくとも売主が商品供給を継続しなければならないことを、双方が真意に合意したという状況は通常考えられないからです。
また、仮に、当事者双方が相手方の契約不履行があった場合でも解除できないということを真意に合意したとしても、具体的状況に鑑みて、解除権を行使させないことが著しく不合理と認められるような場合には、信義則違反や権利濫用、公序良俗違反などの一般法理に基づき最終的には、契約の解除が認められることになる場合があると考えられます。

なお、事業者と消費者との間の契約において、消費者が契約不履行に基づく解除権を放棄する合意については、消費者契約法上無効とされますので、この場合には消費者は契約を解除することができます。

(2)契約不履行を理由に、他のサービスを追加請求することはできますか。

契約不履行があっても、あらかじめ契約不履行があった場合に他のサービスを追加請求することが合意されていた場合や、事後的に同様の合意をした等の事情がない限り、当然に他のサービスを追加請求することはできません。
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5.相手が口約束(契約)に違反しているにもかかわらず、これに対応しない場合は、どうすればいいでしょうか。また、相手方が口約束(契約)に違反したことにより損害を被った場合にはどのような対処方法がありますか。

相手が口約束(契約)に違反しておりこれを是正しない場合には、内容証明郵便を送る等、債務を履行するよう働きかけを行い、それでも履行しない場合には、前述の通り契約を解除する方法が採り得ます。

また、相手方の契約不履行により損害が生じた場合、相手が任意の賠償に応じない場合には、相手方に対して訴えを提起し、勝訴判決を得た上で、相手方の財産に対し強制執行を行い、損害を回収することになります(なお、訴えを提起する前に、裁判所において互いに協議の上解決を図る民事調停を利用するとの方法も考えられます)。
この際、上述の通り、電話やメールで約束をした場合でも契約は有効に成立するため、裁判においては、電話の録音やメール等を証拠として提出し、契約が有効に成立していることを立証することになります。もっとも、契約書がない場合は、契約の成立を証明することに相当程度困難を伴う場合が多く、立証に失敗に終わる場合もあることに注意が必要です。

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