株式譲渡資金の提供と利益供与について研究しました。

判例研究

株式譲渡資金の提供と利益供与について研究しました。

令和4年2月24日(木)株式譲渡資金の提供と利益供与について研究しました。

日時 令和4年2月24日(木)
場所 湊総合法律事務所
報告者 弁護士 島村 光
内容 株式譲渡資金の提供と利益供与について研究しました。

「第391回判例・事例研究会」

テーマ:株式譲渡資金の提供と利益供与:最二小判平成18.4.10
日時:令和4年2月24日
場所:湊総合法律事務所
報告者:弁護士 島村 光

【事案】

B 社では、取締役 A が経営実務を担当してきたが、支配権を握るオーナー一族が別に存在する。オーナーにおいて相続が生じ、オーナー親族Cが議決権の過半数を有する状況となった。Cは、B社経営について実務トップのAと対立、Aが C からオーナー株式を買い取るMBOが計画された。B社がAに株式買取資金を融資する案が出たが、利益供与規制に該当しないか。

1.利益供与(会社法120条1項)の要件
要件:①会社又はその子会社の計算による、②「株主の権利の行使に関し」行われた、③財産上の利益の供与③:経済的利益の提供は全てこれに当たり、利益供与の相手方は問われない。
②:株主の権利の行使または不行使に、直接または間接の影響を与えることを意味し、会社(取締役)にその主観的意図があることが要求される。どこまでが②に該当するかが不明確であるため、解釈上問題となる。

2.判例
①蛇の目ミシン事件最高裁判決(最二小判平成 18.4.10)
「株式の譲渡は…それ自体は『株主ノ権利ノ行使』とはいえない」「会社から見て好ましくないと判断される株主が議決権等の株主の権利を行使することを回避する目的で、当該株主から株式を譲り受けるための対価を何人かに供与する行為は、…『株主ノ権利ノ行使ニ関シ』利益を供与する行為というべきである。」
※判例は、少なくとも、上記の会社(取締役)の目的=主観的意図が必要であることを示した。
②東京高判平成 22.3.24
B 社において、支配株主の複数の共同相続人が、誰が会社経営を担うかについて2グループに分
かれて争う状況。B 社は、A グループが過半数を取得すれば安定経営が実現されると考え、A グループが C グループから相続株式を買い取るための資金を、A グループに対して提供した事案。
①判決の規準が引用され、C グループがB社にとって好ましくないと判断される株主であると認
めるに足りないとして、利益供与該当性が否定された。
※【支持する学説】対立する2つの相続人グループが株主であること自体が経営の安定性を害するため、この状況を解消して経営の安定化を図ることに会社の目的があったものと評価でき、一方の相続人グループの株主権行使が好ましくないためにこれを回避するという目的は認められない。
以上

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