年次有給休暇を取得した場合に皆勤手当を支給しない約定の有効性について研究しました。

判例研究

年次有給休暇を取得した場合に皆勤手当を支給しない約定の有効性について研究しました。

令和3年7月21日(水)年次有給休暇を取得した場合に皆勤手当を支給しない約定の有効性について研究しました。

日時 令和3年7月21日(水)
場所 湊総合法律事務所
報告者 弁護士 横田 将宏
内容 年次有給休暇を取得した場合に皆勤手当を支給しない約定の有効性について

第382回判例・事例研究会

日時 令和3年7月21日

場所 湊総合法律事務所

報告者  弁護士 横田 将宏

事件の表示 事 件 名 未払賃金請求事件
事件番号 最高裁平成4年(オ)第1078号
判決日付 平成5年6月25日
事案の概要 会社における労働協約では、月ごとの勤務予定表に定める労働日数等を勤務した乗務員に対し皆勤手当を支給するが、年休等を取得した場合には、一回休むと半額、二回休むと不支給と定められていた。労働者は、上記規定により、昭和六三年から平成元年までの五カ月につき年休を取ったことを理由に皆勤手当を減額あるいは支給されなかったので、このような不利益取扱いは労基法三九条・一三四条(現136条)に違反し無効であるとして、その不支給分の支払を求めた。昭和六二年の法改正により追加された法(附則)一三四条は、「使用者が同三九条による年休を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と規定しているが、本件のような約定による不利益取扱いが私法的効力をもつかどうかが従来から問題とされてきた(労働判例636号11頁)。
第一審 同条は訓示規定とはいえ賃金のみならずその他の不利益を禁止しているから、かかる不利益はすベて民法上公序に反するとして、請求を認容した(同前)。会社控訴。
原審 同条は「その規定の位置、文言、沿革等に鑑みると、従前の通達(昭53・6・23基発三五五号)の趣旨を明文化した訓示規定と解される」が、右法改正による是正が行われるまでの過程における労使協定による皆勤手当の不支給が「その程度いかんに拘らず」直ちに同条の禁ずる不利益取扱いとして無効と断ずるのは「労使関係の自主的発展、安定化の見地から」妥当でなく、その減額の程度、労働者が年休取得を抑制される程度等を総合的に考慮して、「年休取得を著しく困難にし、年休の趣旨が失われると認められる場合に限り」民法九〇条により無効となると解し、本件の場合は結局その場合に当らないとして一審判決を取り消し、労働者の請求を棄却した(同前)。労働者上告。
判例の要旨 上告棄却。
被上告会社における年次有給休暇の取得を理由に皆勤手当を控除する措置は、同法三九条及び一三四条の趣旨からして望ましいものではないとしても、労働者の同法上の年次有給休暇取得の権利の行使を抑制し、ひいては同法が労働者に右権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものとまでは認められないから、公序に反する無効なものとまではいえないというべきである。

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