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内部統制をカタチだけにしない


Q.当社でも内部統制システムを検討していますが、単に社内ルールを
  複雑にし、身動きをとりづらくするだけのような気がしています。
  また、社内には「形だけ整えておけば良いだろう」との空気もあります。
  現実的で、効果的な内部統制システムがあれば、教えてください。

A.内部統制システムは、一部の不正を働く経営者や社員によって、善良な経営者や社員、株主、利害関係者を守るためのシステムです。
 内部統制システムの整備がなされていなかったり、運用が十分されていない場合、不祥事の際に、経営者が内部統制整備義務違反に問われることになります。
 形だけのシステムではなく、実際に効果的なものにするためには、以下の点が重要です。

①制度さえ作れば良いというものではない
 リスクを減少させ、それにも係わらず発生するリスクを早期に把握してその拡大を防ぐための施策がとられているかどうかが、内部統制システム整備義務違反の有無を分ける基準となります。
 多くの企業では、どこかから雛形をもってきて、それに少しだけ手をいれて、これをコンプライアンスマニュアルと称して社員に配布してこと足れりとしており、社員研修もしなければ、マニュアルの改訂作業すら行っていません。
 これでは、内部統制システムは形式的なものに過ぎず、整備されているとは言えません。

 重要なことは、自社におけるリスクが発生しうるポイントを見極め、発生した場合に、いかにすれば早期に発見して、手を打つことができるか、事前に十分に協議して、制度を作り上げ、これを取締役はもちろん従業員にまで徹底して認知させて、「内部統制システムを機能させる」ことにあります。

②見えない不祥事の芽をいち早くトップが認識できる体制を構築する
 企業の不祥事は、上司やトップが知り得ない内に進行し、発覚したときには収拾がつかない状態になっている場合や、社員が折角上司に対して「リコールすべきだ。」等のコンプライアンスに則った対応をしようと進言したのに、上司がこれを押さえ込み、発覚するまでに数ヶ月を要し、損害が急激に拡大してしまうような場合があり得ます。
 しかし、こうした場合に待ち受けるのは、内部統制システム整備義務違反に基づく社長に対する損害賠償請求です。

 かかる事態を回避していくためには、他の取締役や従業員が、何らかの不祥事の芽を発見し、あるいは、何らかの問題に直面した場合に、「一人で抱え込まずに他人を巻き込んで解決できるように制度的な体制」を構築することが何よりも重要です。
 一例としてあげると、内部通報制度を整え、内部通報の窓口として、会社内での上下関係のない社外の者が対応できるようにしておくことが大切です。

 特に、内部通報制度の社外窓口に、弁護士を配置することは有用な手段です。なぜなら、弁護士であれば、守秘義務を盾にして、通報した取締役や従業員を守りつつ、社外監査役と連携するなどして、企業内の不祥事を萌芽の段階で防ぐことが可能となるからです。その結果、社長は、不祥事があったとしても、内部統制システム整備義務違反とは認められず、損害賠償義務を負担しなくてよくなるのである。

③社長が本気になることが何よりも大切
 現在の企業を見ていると、まだまだ内部統制が法的制度になったから仕方なく対応しているという感があります。
 コンプライアンスマニュアルが配布するにしても、トップの表情はとても面倒くさそうに見え、社長は、社員に「もっと営業で良い数字を出せ!!」とハッパをかけながなら、「でも、コンプライアンスも大事なので、このコンプライアンスマニュアルを読んでおいて(ホンネは引き出しにでもしまっておけ。)。」という程度です。

 これでは社員がついてくるはずがなく、社長はコンプライアンスと言うけれど、社長のホンネは、「これまでと同様に適当にうまくやってくれ・・・」ということなんだと見透かされてしまいます。
 分厚いコンプライアンスマニュアルを配っても、社長の意識に変革を起こし、これまでの企業風土を変えないと、企業不祥事を減少させることはできません。

 そのためには、社長自身が本気になることが何よりも重要なのです。
 例えば、建設業界で、これまで何十年にもわたって官公庁や同業他社とあうんの呼吸で入札をやってきたような会社で、単に「コンプライアンスが大切」と言われただけでは、企業慣習は変わりません。管理職やその部下たちは、コンプライアンスが大事と言われても、法令を遵守したために営業成績が下がったのでは人事評価を下げられ、給料が下がると思い、なんとか「うまくやってその場を切り抜ける。」ことだけを模索することになってしまうからです。

 ですから、社長が本気になったかどうかを見極めるリトマス試験紙は、全社員に向けて、「コンプライアンスを優先せよ。そのためには営業成績が下がっても、商談を失っても構わない。」ということを、実践し、周知徹底させることができるかどうかにかかっています。
 企業が本気でコンプライアンスを実行しようとすれば、人事評価にまで踏み込んで実現しようという意識が大切であり、そのためにまず重要なことは、社長自身が意識改革を図ることが何よりも重要なのです。


 当事務所では、シンプルで効果的な内部統制プログラムの策定と運用をご支援しています。




コンプライアンスに関する目次

1. 内部統制について 2. 内部統制とは
3. J-SOX法とは
4.内部統制を実現するには 5. 内部統制報告書の作成義務
6. 内部統制を形だけにしない
7. 内部統制の裁判例