補償契約および役員等賠償責任保険契約を導入する際のポイント

補償契約および役員等賠償責任保険契約を導入する際のポイント

Q 補償契約および役員等賠償責任保険契約を導入する際のポイントについて教えてください。

 

A 会社法改正に関する会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱(以下「要綱」といいます。)が定める補償契約および役員等賠償責任保険契約を導入する際のポイントは以下のとおりです。

このほか、会社法解釈指針等の議論なども踏まえ、手続や塡補範囲などについて弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

 

1.補償契約について

(1)補償契約とは

役員個人が役員の地位または職務執行に関連する損害賠償請求等の民事請求や行政調査等の対象となるリスクに対する会社補償は、補償契約を締結することにより実現することができます。

補償契約とは、役員等(会社法第423条第1項)に対して一定の費用等の全部または一部を株式会社が補償することを約する契約をいいます(要綱第2部第1・2①)。

(2)補償契約の内容を決定する手続

株式会社が補償契約の内容を決定するには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければなりません(要綱第2部第1・2①)。

(3)補償の対象

① 補償契約における補償の対象は次に掲げる費用です(要綱第2部第1・2①)。

ア 当該役員等が、その職務の執行に関し、法令の規定に違反したことが疑われ、または責任の追及に係る請求を受けたことにより要する費用

イ 当該役員等が、その職務の執行に関し、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合における次に掲げる損失

(ア)当該損害を当該役員等が賠償することにより生ずる損失

(イ)当該損害の賠償に関する紛争について当事者間に和解が成立したときは、当該役員等が当該和解に基づく金銭を支払うことにより生ずる損失

 

② ただし、次に掲げる費用等を補償することはできません(要綱第2部第1・2②)。

ア ①アに掲げる費用のうち相当と認められる額を超える部分

イ 当該株式会社が①イの損害を賠償するとすれば当該役員等が当該株式会社に対して第423条第1項の責任を負う場合には、①イに掲げる損失のうち当該責任に係る部分

ウ 役員等がその職務を行うにつき悪意または重大な過失があったことにより①イの責任を負う場合には、①イに掲げる損失の全部

(4)その他

ア 補償契約に基づき①アに掲げる費用を補償した株式会社が、当該役員等が自己若しくは第三者の不正な利益を図り、又は当該株式会社に損害を加える目的で①アの職務を執行したことを知ったときは、当該役員等に対し、補償した金額に相当する金銭を返還することを請求することができます。

イ 取締役会設置会社においては、補償契約に基づく補償をした取締役及び当該補償を受けた取締役は、遅滞なく、当該補償についての重要な事実を取締役会に報告しなければなりません。

ウ 株式会社と取締役または執行役との間の補償契約については、利益相反取引に関する会社法第356条第1項および第365条第2項(これらの規定を第419条第2項において準用する場合を含みます。)は適用しません。

エ 株式会社が事業年度の末日において公開会社である場合において,当該株式会社の役員(取締役又は監査役に限る。以下同じ。)と当該株式会社との間で補償契約を締結しているときは,次に掲げる事項を当該事業年度に係る事業報告の内容に含めなければなりません。なお、会計参与設置会社および会計監査人設置会社についても、同様の規律が設けられました。

  • 当該役員の氏名
  • 当該補償契約の内容の概要(当該補償契約によって当該役員の職務の適正性が損なわれないようにするための措置を講じているときは、その措置の内容を含む。)
  • 当該役員に対して①アに掲げる費用を補償した株式会社が、当該事業年度において、①アの職務の執行に関し、当該役員に責任があること又は当該役員が法令に違反したことが認められたことを知ったときは、その旨
  • 当該事業年度において、株式会社が当該役員に対して①イの損失を補償したときは、その旨及び補償した金額

 

2.役員等賠償責任保険契約について

(1)役員等賠償責任保険契約とは

役員等賠償責任保険契約とは、株式会社が、保険者との間で締結する保険契約のうち役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が塡補することを約するものであって、役員等を被保険者とするもの(法務省令で定めるものを除く。以下3において「役員等賠償責任保険契約」といいます。)をいいます(要綱第2部第1・3①)。

法務省令で定めるものは、いわゆる生産物賠償責任保険(PL保険)、企業総合賠償責任保険(CGL保険)、自動車賠償責任保険、海外旅行保険等に係る保険契約です。

(2)役員等賠償責任保険契約の内容を決定する手続

株式会社が役員等賠償責任保険契約の内容を決定するには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければなりません(要綱第2部第1・3①)。

なお、監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社においては、役員等賠償責任保険契約の内容の決定は、取締役会の決議によって取締役または執行役に委任することができません(要綱第2部第1・3①(注2))。

(3)その他

ア 株式会社が保険者との間で締結する保険契約のうち役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が塡補することを約するものであって、取締役又は執行役を被保険者とするものの締結については、利益相反取引に関する会社法第356条第1項および第365条第2項(これらの規定を第419条第2項において準用する場合を含みます。)は適用しません(要綱第2部第1・3②)。

イ 株式会社が事業年度の末日において公開会社である場合において、役員等賠償責任保険契約を締結しているときは、次に掲げる事項を当該事業年度に係る事業報告の内容に含めなければなりません(要綱第2部第1・3(3の注))。

  • 当該役員等賠償責任保険契約の被保険者
  • 当該役員等賠償責任保険契約の内容の概要(役員等による保険料の負担割合,塡補の対象とされる保険事故の概要及び当該役員等賠償責任保険契約によって当該役員等の職務の適正性が損なわれないようにするための措置を講じているときは,その措置の内容を含む。)

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