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ネット上で著作権侵害がなされたら


Q.当社はファッション雑誌を発行している出版社です。
  当社雑誌のモデルの写真画像が、当社とは無関係のホームページに
  無断で掲載されているのを発見しました。
  当該画像の掲載をやめさせたいのですが、どうしたらよいでしょうか?


 A.御社に無断で御社発行の雑誌の画像をホームページに掲載した情報発信者がわかれば、その情報発信者に対して直接内容証明郵便、訴訟等で著作権侵害を理由に削除、損害賠償等を請求できる。
 しかし、インターネットの匿名性により情報発信者を知ることは極めて困難な場合がほとんどです。

 では具体的にどのような対応をしたらよいのでしょうか。以下ではネット上で権利侵害がなされた場合の具体的対応をご説明します。

1 具体的手順

(1) 権利侵害の有無の判断
 まず、自己の権利が侵害されているといえるかどうかを判断します。
 今回の場合、出版社発行の雑誌内の写真については出版社に著作権があるとして、その写真画像を第三者が出版社に無断で自己のブログに掲載することは、写真画像をサーバに蓄積した段階で著作権のうち複製権(無断で複製されない権利)を、ホームページにアップロードした段階で公衆送信権(無断で公衆に送信されない権利)を侵害することになります。 
 もっとも、そもそも当該写真の著作権が出版社にあるかどうかは、当該写真を撮影したカメラマンと出版社間の契約内容によっても異なりますし、また、他人の著作物を無断で自己のブログに掲載しても許諾される一定の場合もありますので、具体的事例において、本当にご相談者の権利が侵害されているといえるかどうか、については、弁護士等専門家に相談されることをお勧めします。

(2) 問題ホームページのサーバを管理しているプロバイダの調査
 HPのURLのドメイン(例:http://www.minatolaw.com/ であれば、「minatolaw.com」の部分)を手がかりに、ドメイン名・IPアドレス検索サービス(http://whois.ansi.co.jp/)などを利用して、IPアドレスを調査する。

 ANSI Whois Gateway サービスの検索窓に「minatolaw.com」を入れて検索すると、

 Domain Name: MINATOLAW.COM
    Registrar: NETWORK SOLUTIONS, LLC.
    Whois Server: whois.networksolutions.com
    Referral URL: http://www.networksolutions.com
    Name Server: NS.DLSV.COM
    Name Server: NS2.DLSV.COM
    Name Server: NS3.DLSV.COM
    Status: clientTransferProhibited
    Updated Date: 24-aug-2007
    Creation Date: 03-sep-2003
    Expiration Date: 03-sep-2008

 という結果が出てきます。
 このうち「Name Server.」の欄に着目します。この欄に表示されているドメインを有する事業者が、問題のホームページのサーバを管理してるプロバイダである可能性が高いです。
 そこで、再び、上記検索窓に「NS.SLSV.COM」と入力して検索すると、

  Server Name: NS.DLSV.COM
    IP Address: 211.133.131.5
    Registrar: NETWORK SOLUTIONS, LLC.
    Whois Server: whois.networksolutions.com
    Referral URL: http://www.networksolutions.com

 という結果が出てきます。これにより、上記ドメイン名に対応するIPアドレスが「211.133.131.5」であることがわかります。

 IPアドレスとは、インターネットにおけるネットに接続されたコンピュータを特定するための識別番号です。当該IPアドレスが特定の会社のものであれば、その会社が権利侵害情報を流している可能性が高いですし、当該IPアドレスがインターネット接続プロバイダであれば、そのプロバイダと契約をしている事業者が、権利侵害情報を流している可能性が高いといえます。

 そこで、上記IPアドレスを、再び検索サービスで検索すると、

 Network Information: [ネットワーク情報]
 a. [IPネットワークアドレス]     211.133.131.0/25
 b. [ネットワーク名]             ND2-NET
 f. [組織名]                     株式会社○○○△■
 g. [Organization]               ○○○△■ INC.
 m. [管理者連絡窓口]             HH612JP
 n. [技術連絡担当者]             HH612JP
 p. [ネームサーバ]
 [割当年月日]                    2003/11/26
 [返却年月日]                   
 [最終更新]                      2003/11/26 12:22:02(JST)

 という結果が出てきます(※一部のデータに改変を加えています)。これにより、http://www.minatolaw.com/のHPを作成・発信した当事務所は、株式会社○○○△■とプロバイダ契約を締結していることがわかります。

(3)-1 (2)で判明したプロバイダに対し、著作権を有する画像について送信防止措置をとるよう要求する。
 その際、申出の内容として、参考になるのが「プロバイダ責任法ガイドライン等検討協議会」が策定しているガイドラインの様式です。
(http://www.telesa.or.jp/consortium/provider/pdf/provider_031111_1.pdf)。
 上記ガイドラインは、プロバイダ等が権利侵害行為に対して適切かつ迅速に対応することを目的として策定されたものですが、被害者の立場からも、プロバイダ等に迅速に対応してもらうためにガイドラインに沿った対応することが望ましいでしょう。

(3)-2 プロバイダが任意に送信防止措置をとらない場合に備え、(3)-1と同時に、裁判所に対する送信差止の仮処分の申立てを行う。
 プロバイダが任意に送信防止措置をとらない場合には、プロバイダを相手方として送信差止訴訟を提起するほかありません。
 しかし、認容判決が出るまでの間、侵害情報が流通し続けることにより被害者に回復し難い損害が生じる場合も想定されます。そのような場合には、プロバイダを債務者として仮処分命令の申立てをします。仮処分命令が出れば、判決までの間の権利侵害を阻止することができます。

(4) プロバイダを相手方とする送信防止訴訟の提起
 プロバイダが任意の送信防止に応じない場合には、プロバイダを被告として裁判所に送信差止請求訴訟を提起します。

2 発信者情報開示請求

 侵害情報の発信者に対して直接損害賠償請求等の法的措置を行いたい場合、一定の要件を充たせばプロバイダ等に発信者に関する情報(氏名、住所、電子メールアドレス、IPアドレス等)の開示を請求することができます。

以下は基本的手順

(1) 権利侵害の有無の判断


(2) 問題ホームページのサーバを管理しているプロバイダの調査
 (※ ここまでは、上記1の手順と同様。)

(3) プロバイダ等に対して開示請求を行う

ア 開示請求の要件(権利侵害が明らか、かつ、開示を受けるべき正当な理由)
 重要な要件としては、①権利侵害が明らかであって②開示を受けるべき正当な理由があることが必要です。

イ 請求書の様式・記載事項
 開示請求についても「プロバイダ責任法ガイドライン等検討協議会」が策定するガイドラインが参考になります。
 http://www.telesa.or.jp/consortium/provider/pdf/provider_070226_guideline.pdf

(4) 任意に開示してくれない場合には、訴訟提起
 もっとも、上記(3)アの要件の有無をプロバイダ自身が判断することは極めて困難ですので、実際は裁判外での開示請求には応じてもらえないことが多いでしょう。
 その場合には、訴訟を提起して、その中で開示請求権を実現することとなります。

(5) 情報発信者に対する法的措置
 上記手続により発信者が特定できたら、当該発信者に対して損害賠償訴訟等の法的措置を行います。




サイバーローに関する目次

1. サイバーローについて
2. ネット上での著作権侵害