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子供への株式の譲渡


Q.私はA社を将来、営業部長である長男Bに譲りたいと考えています。
  私の会社は株式譲渡制限会社で子供は長男B、次男C、三男Dの3人です。
  相続が起きた場合に、長男のB以外のCやDに株式が分散し、
  CやDが会社経営に口を挟むようになり、会社経営が不安定になってしまう
  ことが心配です。良い方法はないでしょうか?

A.売渡請求条項(会社法174条)や議決権制限条項(会社法109条)等の会社法の規定を活用することで、後継者へ株式を集中させるとともに、好ましくない者へ株式が分散することを防止できます。 

                         B(後継者)
   経 営 者     ⇒         C(非後継者)     
            株式の相続      D(非後継者)

問題点

 遺留分等(配偶者や子供等の推定相続人に最低限の財産の相続を保障する制度。)の民法上の権利に留意しながら、B、C、Dがそれぞれ株式を相続すると、後継者ではないCやDが議決権を行使する等して会社経営に口を挟むようになり、会社経営が不安定になってしまいます。
株式の分散を防ぐためには、CやDに、株式以外の財産を相続させる必要がありますが、そのためには多額の現金又は現金に代わるような資産が必要となってきてしまいます。

具体的対策

対策1 ~BによるC・Dの株式の買取り~
 CやDがA社の経営に関与することを防止するための最も典型的な方法としては、長男であるBがCやDから株式を買い取る方法があります。
しかし、この方法を実行するためには、
 ①Bに株式を買い取るだけの資力があること
 ②CやDが株式の売却について承諾すること が必要となってきます。
 ですので、実際に、Bが株式を買い取るだけの資力がない場合や、CやDが株式の売却に承諾してくれない場合にはこの方法をとることはできません。

対策2 ~A社によるC・Dの株式の買取り~
 CやDが株式の売却に応じる意思があるものの、Bに株式を買い取るだけの資力がない場合には、A社がCやDから株式を買い取る方法があります。

 この場合、通常であれば、会社が特定の株主から株式を買い取る場合、その株主以外の株主に対しても、株式を売却する機会を与えなければならない(会社法160条2項、3項)とされています。
しかし、CやD以外の株主以外にも、株式売却の機会を与えなければならないとすると、A社は、莫大な売却資金を出さなければならないことになるおそれがあります。

 そこで、会社法では、会社(非公開会社)が、相続人から、相続した株式を買い取る場合には、他の株主に売却の機会を与えなくて良い(会社法162条)こととされています。
よって、A社は、C・Dから株式を買い取る場合には、C・D以外の株主に、売却の機会を与える必要はありません。

対策3 ~売渡請求権~
 CやDに株式を売却する意思がない場合には、A社が、CやDに対して、株式の売渡請求(174条)する方法があります。
会社が適法な手続きを経て請求すれば、会社と株式の相続人(C、D)との間で売買契約が成立します。
売買価格は当事者で協議して決めますが、協議が成立しなくても、請求のあった日から20日以内に裁判所に売買価格の決定の申し立てをすれば、裁判所は売買価格の決定をします。
 ですから、CやDが、いくら売りたくないといっても、最終的には、会社は裁判所が決定した売買価格に相当する金員を法務局に供託してしまえば、その株式を取得することができます。

対策4 ~議決権制限株式の定め~
 具体的対策1~3に述べた方法は、BやA社に株式を買い取るだけの資金がある場合です。
BやA社に株式を買い取るだけの資金が十分にないような場合には、定款で、CやDの株式については、議決権を行使できないような定め(議決権制限株式)を置く方法があります(会社法109条2項)。
 ただし、議決権制限株式の定めを定款に置くには、総株主の半数以上であって、総株主の議決権の75%以上に当たる多数をもって決議しなければならない(会社法309条4項)とされているので注意が必要です。

円滑な事業承継に活用できる会社法制度

 平成18年5月1日に新「会社法」が施行されたことにより、後継者へ株式を集中させ、会社にとって好ましくない者への株式分散を防止するために活用できる規定が増えました。
 事業承継に活用できる会社法制度の例としては、以下のようなものがあります。

(1)株式の集中及び分散防止

ア 分散した株式の買取(会社法461条、156条等)
 経営者個人や後継者個人による株式の買取りを行ったり、会社による自己株式取得(金庫株)をすることができます。

イ 株式譲渡制限条項の設置(会社法107条1項1号)
 会社にとって好ましくない者に対して、株式の譲渡(売却)を制限することが可能です。

ウ 相続人に対する売渡請求条項の設置(会社法174条)
 株式を相続した者が会社にとって好ましくない場合、会社が株式の売渡請求を行うことができます。

(2)種類株式の活用

ア 議決権制限株式の発行(109条2項)
 議決権制限株式とは、株主総会での特定の議決権が制限された株式のことです。
 この議決権制限株式を、後継者以外の者に相続させることで、後継者に議決権が分散することを防止し、後継者に議決権を集中させることができるようになります。

イ 拒否権付種類株式の発行(109条2項)
 拒否権付種類株式(黄金株)とは、株主総会の特定の決議事項について、拒否権を有する株式のことです。
 現経営者が一定期間、黄金株式を保持し、信頼がおけるようになるまで、後継者の経営を監視することができます。

 会社法が改正され、事業承継に便利に活用できる規定がいくつか設置されましたが、上記のような売渡請求をするには、会社が相続を知った日から1年以内(会社法176条1項)でなければならないという期間制限があったり、売却価格に制限(会社法461条1項5号)があります。
 また、定款の定めも以下の文例のように非常に複雑な条項になります。
 確実な手続のためにも、弁護士等の専門家にご相談されることをお勧め致します。

[参考:種類株式条項の定款文例]

第○条 当会社の発行する株式の総数は100万株とし、このうち70万株を普通株式、20万株をA種株式、10万株をB種株式とする。
第○条 A種株式を有する株主(以下「A種株主」という。)は、株主総会において議決権を有しない。

2 A種株主は、発行に際して取締役会の決議で定まる転換請求期間中、当該決議で定める転換の条件でA種株式の普通株式への転換を請求することができる。

3 転換を請求することができる期間中に転換請求のなかったA種株式は、同期間の末日の翌日にA種株式1株の発行価格相当額を50円で除して得られる数の普通株式となる。

4 B種株式を有する株主(以下「B種株主」という。)は、当会社の利益処分の議案についてのみ議決権を有する。

5 B種株式に対しては、毎決算期において配当をなすべき利益の中より1株につき年5円の利益配当を普通株式に優先して配当する。

6 ある決算期における優先配当金の支払が前項の優先金額に適しないときは、その不足額は翌営業年度以降に累積とする。・・・・・




事業承継に関する目次

1. 事業承継について
2. 子供への株式の譲渡 3. 子供への土地譲渡
4. 遺言の作成 5. 社長と認知症

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