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第14 留学生のアルバイト採用

質問

当社は、日本の大学に留学している外国人A、B及びCを、短期的にアルバイトとして採用したいと考えている。留学生A及びBには、今回、会社が計画しているイベントで2時間ほど講演やパネルディスカッションのパネラーとなってもらおうと考えている。

 一方、留学生Cには、イベントが終了するまでの1ヶ月間、イベント実行委員会のサポート業務を週に40時間程度は行ってもらおうと考えている。当社が留学生A、B及びCを採用するにおいて問題はあるか。

回答

① 留学生A及びBについては、講演やパネラーを依頼するものであり資格外活動許可を得ずにアルバイトをさせることができる。

② 留学生Cについては、資格外活動許可を得てもらう必要があるが、アルバイト時間は週28時間に制限される。

解説

1 在留資格「留学」と資格外活動

  外国人は、在留資格が、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」以外の場合は、在留資格で認められた範囲によって日本で行うことができる活動の範囲が制限されている。

 そして、外国人が、在留資格で認められた範囲に属さない収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行おうとする場合には、あらかじめ法務大臣の許可すなわち「資格外活動許可」を受けなければならないことになっている。

 これに違反して会社が資格外活動許可を得ていない外国人留学生を採用して就労させた場合には、当該外国人に対して不法就労行為を行わせたことになり、事業者については不法就労助長罪として3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられる(併科含む)可能性がある。

 また、当該外国人留学生についてはかかる資格外活動を専ら行っていたと明らかに認められる場合は退去強制事由とするとともに3年以下の懲役若しくは禁錮又は300万円以下の罰金(併科含む)に処せられる可能性があり、かかる活動がもっぱらといえないときは1年以下の懲役若しくは禁錮又は200万円以下の罰金(併科含む)に処せられる可能性がある。

 したがって、外国人留学生をアルバイトとして採用する場合には、資格外活動許可を受けているかどうかをしっかりと確認することが重要である。

2 資格外活動許可が不要な収益活動

  もっとも、日常生活の中である種の知的生産活動を行って常識的な対価を得ることまでも規制することは妥当ではないことから、入管法及び入管法施行規則は、講演活動、鑑定、著作物の制作、催しものへの参加等の活動は、業として行うものではない限り、仮にそれが報酬を得るものであったとしても資格外活動を行うことは可能としている。

 したがって、留学生A及びBについては、イベントの際の講演やパネルディスカッションにおけるパネラーを依頼するものであるから、資格外活動許可を得ずにアルバイトをさせることができることになる。

3 資格外活動許可取得の方法

  一方、留学生Cについては、イベント実行委員会のサポート業務を行わせることになるので、資格外活動許可が不要な収益活動に該当しない。したがって、Cが資格外活動許可を有していない場合には、会社としてはCに資格外活動許可申請を行ってもらう必要がある。

 この申請は原則として留学生の属する教育機関の申請取り次ぎによって行うこととされている。留学生Cの場合は大学に所属しているので、会社はCに対して、「大学に行って資格外活動許可の申請手続きをしてもらって下さい」と要請して、留学先の大学を介して入国管理局から資格外活動許可を取得することになる。

4 資格外活動許可取得の要件

留学生Cが資格外活動許可を取得するには、原則として以下のような要件を具備する必要がある。

① 申請に係る活動が現に有する在留資格に係る活動を阻害しないものであること。
② 現に有する在留資格に係る活動を維持していること。
③ 申請に係る活動が単純労働ではないこと。
④ 申請に係る活動が、法令で禁止されている活動・公序良俗に反する活動・風俗営業等における活動に該当しないこと。 
⑤ 現在の在留状況等に問題がないこと。

 実務的には、留学生から資格外活動許可申請があった場合には、活動の内容や場所を特定せずに資格外活動を行うことができる包括的許可が付与されるという扱いになっている。

 したがって、質問の会社の場合も、Cが①~⑤の要件を充足して資格外活動許可を取得できれば、イベントのサポート業務のアルバイトとして採用することが可能である。

5 稼働時間の制限

  もっとも、留学生に認められるアルバイトは、あくまでも日本社会への理解や生活費等の負担の軽減といった理由で認められるものであるから、日本において教育を受けるという本来の目的を没却するようなことがあってはならない。

 そこで、法は、大学の正規生及び専修学校の専門課程の学生については1週間につき28時間以内しかアルバイトとして稼働することは認めていない(但し、夏休み等の長期休業期間中は一日8時間以内とされている。)。

 したがって、例えイベントまでの1ヶ月間であったとしても、会社はCを1週間に28時間を超えて就労させてはならず、違反した場合は入管法違反となってしまうので、注意が必要である。どうしても週に40時間程度の時間を要する場合には、もう1人アルバイトを採用するなどして対応することが肝要であろう。