顧問弁護士なら湊総合法律事務所|顧問弁護士.企業法務オンライン|東京弁護士会所属

湊総合法律事務所は、各分野において専門性の高い弁護士がチームを組み、クライアント様の利益の最大化を目指します。

  • 事務所案内
  • 顧問弁護士
  • セカンドオピニオン
  • セミナー・講演
  • 弁護士紹介
  • アクセス

第10 採用のポイント(2)~来日させ複数面接を 事前に適性・協調性審査~

1 在留資格の取得

自社で採用したいと考えている外国人が外国にいて、外国から呼び寄せて雇用する場合、自社で行ってもらいたい業務内容に応じた就労可能な在留資格を取得する必要がある。

 在留資格には27種類あり、それぞれ就労可能な業務の範囲と在留資格を取得するための要件が定められており、在留資格がなければそもそも入国できないのであるから、自社で外国人に働いてもらいたいのであれば当該外国人に行ってもらいたい業務が、27種類の在留資格の一つに該当する必要がある。

 例えば、単純労働や肉体労働等は27種類の在留資格に該当しないから、仮に自社において単純労働者が必要であっても、当該外国人を日本国内において就労させることはできないのである。

 次に、自社で行ってもらいたい業務に合致する在留資格が判明した場合には、当該外国人の学歴や職務経歴が、在留資格の要件に合致しているか否かを確認する。

 在留資格の要件を満たしている場合には、入国管理局で在留資格認定証明書交付申請を行う。この申請は当該外国人の他、雇用元の社員も行うこともできる。

 在留資格認定証明書交付申請を行って許可が下りたら、最寄りの日本大使館又は総領事館で査証(ビザ)を申請し、当該外国人を本邦に入国させて採用することとなる。

2 海外の現地子会社等から出向させて採用する場合

この場合は海外に自社の子会社等の関連会社があって、当該会社の外国人労働者に一定期間、日本に来てもらって勤務させる形態である。

 この方法は、企業内転勤の在留資格に該当することが多く、企業内転勤の在留資格は、海外現地子会社などで1年以上継続勤務していれば、学歴や実務経験が要件とされないので、当該外国人を採用することが容易なことが多い。また、関連会社において既に労働していることから、当該外国人の勤務成績・能力や資質を把握し易く、トラブルになるケースも比較的少ない。

 もっとも、このケースの場合は、外国現地企業から出向させて日本において採用しているので、日本での雇用契約終了後は、当該外国人はもとの現地子会社等の関連会社に戻ることが前提であり、このような関連企業を有しない会社は、この方法はとり得ない。

3 自社に必要な海外在住外国人を紹介してもらって採用する場合

(1) 例えば、自社が、ベトナムの経済成長を見込んでベトナムと日本との取引に長じたベトナム人を採用したい場合や、アフリカ料理の本場のプロを採用したいような場合に、既に日本に滞在する外国人や留学生の卒業予定者では自社が必要とする人材を確保することができないときは、海外から能力のある外国人を紹介してもらって採用しなければならないことになる。

 この場合、従事させようとする業務に対応する在留資格が要求する学歴要件や実務経験の要件を満たしていたとしても、実際に日本に来てもらって業務をさせてみると、業務適性が乏しかったり、他の日本人従業員と協調して仕事を進めることができないというトラブルになることがある。

 後になってからこのようなことが判明して、やむを得ず当該外国人を解雇してしまうと、解雇無効を争われて訴訟に至ってしまうことが多い。そして、当該外国人にも日本の労働基準法が適用され、解雇の正当事由は厳格に解されることから、会社側が敗訴してしまうことも多い。

 (2) このようなトラブルを未然に防ぐためには、紹介があったときに安易に採用を決めてしまうのではなく、事前にできる限り入念な審査をすることが重要である。

 すなわち、採用したいと考える外国人が外国にいる間であっても、単に履歴書を提出してもらうだけでなく、自社で従事させたい業務で必要とされる能力を有するか否かをできる限り判断すべきである。

 上述のベトナムとの取引に長じた人物を採用する際には、事前に事例問題を出題して、実際にベトナム語と日本語でビジネスレターや契約書を作成させて送付させ、あるいは、会議の際にディベートをしている様子や、プレゼンテーションをしている様子などをビデオに撮影して送付してもらうなどしてみると良い。

 また、最近は、スカイプなどネットでテレビ電話のように通信できるシステムもあり、日本にいながらにして面接に類似した対応ができるので、当該外国にネットの環境があるのであれば、是非とも活用していただきたい。

 もっとも、テレビ電話では、必ずしもその人物の能力や性格を完璧に把握することはできないので、実際に本人に会って面接するなどして、当該外国人がどのような人物で、いかなる能力を有しているかを見極めることが重要である。

 自社の採用担当者を現地に派遣して面接させるか、あるいは、自社において来日費用を支弁して、本人に「短期滞在」の在留資格で一時的に来日してもらって面接するなどの工夫をする必要がある。できれば後者の方が、複数の採用担当者の目で能力や性格を判断でき、また、日本人の他の従業員とのチームワークが重要な職場であれば、実際に職場に連れて行って何人かと面会させて、上手くやっていける人物かどうかを判断することも可能となるからより良いであろう。

 (3) このような慎重な手続を経て、当該外国人を採用することとした場合には、必ず雇用契約書に、当該外国人に行ってもらう職務内容と、求める職務レベルを具体的に記載しておくことが重要である。

 この定めをしておかないと、後日、その外国人に職務の適性が無いことが明らかとなった場合でも解雇することが著しく困難となってしまう。もちろん、このような規定があったとしてもすぐに解雇できるわけではないが、その記載のない場合に比して解雇が有効とされる可能性が高くなるから、かかる記載は必須である。

 また、後日、当該外国人が、雇用契約書にそのような定めがあることは知らなかったと言われないようにするために、当該外国人の母国語に翻訳した契約書も交付して、採用時に、これを受領した旨のサインを求めておくべきである。