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第8 研修・技能実習制度(3)~座学講習を義務付け 日本語・保護情報等4科目~

入管法改正に伴い講習についても見直しが図られており、企業が講習を行う際には、労務担当者は適切な対応が必要となるのでご注意いただきたい。

1 講習の時間数・時期について

上陸基準省令は、講習の所定時間数として、技能等修得活動を効果的かつ安全に行う上で必要最小限の時間数を要するとしている。そして、団体管理型については、実習実施機関で技能等修得活動を行う前に実施する講習だけがこの所定時間数に算入できる講習の対象となる。

 一方、企業単独型については、雇用契約に基づく講習の時間数もその対象となるが、技能実習生の法的保護に必要な情報に関する講習は、実習実施機関で講習以外の技能等修得活動を行う前に実施する講習だけが対象となる。

2 講習科目について

上陸基準省令は、講習の科目として、日本語、本邦での生活一般に関する知識、技能実習生の法的保護に必要な情報、技能等の修得に資する知識の4科目を掲げている。そして、これらについてはすべて実施することが要求される。

 なお、従来、商品の生産を伴わない機械操作や試作品の製造は、非実務研修として位置づけられてきたが、講習は、座学により実施されるものが対象となるので、これらを講習に含めることはできない。但し、技能実習を実施する施設等の見学をすることは講習の一部として認められる。

3 海外研修について

外部講習を本邦外において行う場合、外国の公的機関若しくは教育機関で講習を行うとき、又は「技能実習1号イ」で受け入れる技能実習生の所属機関が海外で講習を行うときは、本邦で行う講習の比率に係る要件が緩和される講習の対象とされる。

 また、「技能実習1号イ」について実習実施機関が本邦外で行う講習、及び「技能実習1号ロ」について監理団体が本邦外で行う講習もその対象となる。これらの機関が海外の講習実施機関に直接委託した場合も同様である。

 これら対象となる講習において、日本語、本邦での生活一般に関する知識又は技能等の修得に資する知識の講習を過去6か月以内に1か月以上かつ160時間以上受講していれば、講習の比率に係る要件が緩和されることになる。

 外部講習を行う外国の公的機関とは、外国の国又は地方公共団体の機関をいう。当該機関に該当するか否かは、講習を実施した機関が当該機関に該当すること証する資料を提出し、同機関が作成した科目、内容、講習時間、講習期間、講師名等を記載した講習ないし外部講習実施表等を提出してもらうことにより確認することとしている。

 また、外国の教育機関とは、その国・地域における学校教育制度に照らして正規の教育機関と認定され、かつ、原則として義務教育終了後に入学する教育機関をいう。当該教育機関に該当するか否かは、必要に応じて正規の教育機関であることを証する資料を提出してもらうことにより確認することとしている。

4 外部講師について

団体監理型においては、技能実習生の法的保護に必要な情報に関する講習を外部講師によるものと義務付けている。これは、平成21年3月に閣議決定された「規制改革推進のための3か年計画(再改定)」において、「第1次受入れ機関が実施する集合研修において、研修生の母語に配慮しつつ、専門的知識を有する外部講師等による講義を実施することを義務付ける」として関係法令の施行までに措置することとされたからである。

 一方、企業単独型で受入れを行う企業に対しては、外部講師による講習を義務付けていない。これは、企業においては専門的知識を有する講師を内部で確保することが可能であると考えられるからであるとされている。

 技能実習生の法的保護に必要な方法に関する講習を行う外部講師となりうる者は、入管法令、労働関係法令等の技能実習生の法的保護に必要な情報について十分な知識を有すると認められる者である。具体的には国や地方公共団体の職員、弁護士、社会保険労務士、行政書士のほか、上部団体の職員や監理団体ではない公益法人の職員等で専門的知識を有する者等が該当する。

 なお、団体監理型の受入れにおいて、監理団体が、実習実施機関の施設(会議室・食堂等)を使用して講習を行うことは、技能実習生が実習実施機関の支配下に置かれるおそれがあり、望ましいあり方ではない。

 やむを得ずそうした場所で行わざるを得ない場合でも、そのようなおそれが生じないよう適切な措置を講ずるべきである。例えば、技能実習生が実務作業などを行う際に、講習の主催者である監理団体の職員が講習の実施場所に常駐するようなことががないよう配慮する必要があろう。


不正行為・欠格要件について

入管法改正に際し、企業あるいは団体が技能実習生等の受け入れに関して不正行為等を行った場合についても改正がなされたので、よく把握しておく必要がある。

 ① 不正行為の認定を受けた機関の役員等として技能実習の管理等に従事していた者が、別の団体に移籍したり、新たに団体を設立して研修生の受入れ事業等を行なった場合には、制度適正化のため厳格に対応すべきことから、上陸基準省令において欠格事由とすることとし、当該役員等が不正行為の認定を受けていない場合であっても、一定期間は、当該役員等が移籍等した他の機関に技能実習生の受入れを認めないこととした。

 ② 送出し機関が不正に在留資格認定証明書の交付等を受ける目的等で偽変造文書等を行使又は提供した場合、送り出し機関が海外にある場合には、当該送り出し機関に対して不正行為認定をすることはできない。そこで、このような海外にある送り出し機関が関与する場合には欠格事由として、研修生や技能実習生の受け入れを認めないこととした。

 ③ 不正行為が行われた場合、不正行為の内容や程度により、1年間、3年間、5年間の3つに分けて、研修生・技能実習生の受入れ停止期間を定めることとしている。例えば、研修生・技能実習生の人権を蹂躙するような著しい不正行為が行われた場合には、受入れ停止期間を5年間とし、一方、文書保管義務違反程度の軽微事案については受け入れ停止期間を1年間としいているなどである