顧問弁護士なら湊総合法律事務所|顧問弁護士.企業法務オンライン|東京弁護士会所属

湊総合法律事務所は、各分野において専門性の高い弁護士がチームを組み、クライアント様の利益の最大化を目指します。

  • 事務所案内
  • 顧問弁護士
  • セカンドオピニオン
  • セミナー・講演
  • 弁護士紹介
  • アクセス

第4 資格取消しと利便性向上~取消し事由を追加へ 適法者の在留期間伸長も~

1 新たに在留資格の取消しがなされるのはどのような場合か

改正入管法は従来の規定に在留資格取消事由を新たに追加している。したがって、この改正により、自社の外国人従業員やその配偶者等が、在留資格取消事由に該当して在留資格を喪失してしまう事態も生じ得るから、労務担当者は当該改正をよく理解しておく必要がある。

 今回、改正入管法が在留資格取消事由を追加した趣旨は、法務大臣が継続的に把握する外国人の情報の正確性を担保するとともに、従来から外国人の在留を継続させることが不適当な事態が発生していたことから、これに対処することにある。

 新たに追加された在留資格取消事由は、①偽りその他不正の手段により在留特別許可を受けたこと、②配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留していること(正当な理由のある場合を除く)、及び、③上陸後又は届け出た住居地から退去後90日以内に住居地の届出をしないこと(正当な理由のある場合を除く)や虚偽の住居地の届出をしたことである。

2 新しい在留資格取消事由の注意事項は何か

①は当然のことであるが、②及び③については注意が必要である。

 まず、②に関して、「配偶者の身分を有する者としての活動を行わない」とは、配偶者と離婚又は死別した場合の他、婚姻の実体が存在しない場合も含む。したがって、例えば、外国人を妻に持つ日本人男性従業員を世帯の住所地と異なる地に単身赴任させるような場合には、当該夫婦の婚姻実態如何によっては在留資格取消の対象とされてしまう恐れがある。

 婚姻実態の存否は、同居の有無、別居の場合の連絡の有無と程度、生活費の分担の有無や状況、別の異性との同居の有無、職種等の事情を総合的に考慮して判断されるので、労務担当者は、場合によっては従業員の婚姻実態にも配慮する必要があろう。

 次に、③は、従来の在留管理制度では、外国人の著しい増加や行動様式の変化に伴って、適正な在留管理を行うことが困難となり、虚偽届出や不届等の違反に十分な対応ができないことから、在留管理上最重要な住居地情報について、届出義務の履行を担保するために在留資格取消事由に追加したものである。

 外国人を従業員として採用した場合や、外国人従業員を国内の別の支店に転勤させたような場合に、当該外国人従業員が、90日以内に住居地の届出を怠れば、在留資格が取り消されてしまい、自社が損失を被る可能性がある。したがって、労務担当者は、従業員が住居地の届出を行っているかどうかについては十分なチェックを行う必要がある。

 また、法務大臣は在留資格取消をするときは、入国審査官に当該外国人の意見を聴取させなければならならず、その際には予め、取消の原因となる事実等を当該外国人に通知しなければならないとされており、今回の改正により、同通知には、取消原因等を記載した意見聴取通知書を当該外国人に送達して行うこととしている。

 したがって、自社の外国人に対して上記①ないし③の事由により在留資格取消処分がなされる際には、事前に当該外国人に意見聴取通知書が送達されるから、当該通知書が送達された場合にはすぐに労務担当者に相談するできるような運用をするなどして対策を講じておくべきであろう。


外国人の利便性向上に関する措置

1 新しい在留管理制度

新しい在留管理制度においては、中長期在留者については在留期間中であっても正確かつ継続的に情報を把握して、的確な在留管理が可能になることから、適法に在留している外国人については、従来よりも利便性を向上させる措置を講じている。

2 在留期間の上限は何年に伸長されるのか

在留期間については、各在留資格に応じて法務省令で定めることとなるので、今後詳細について検討の上、法務省令を改正することとなるが、基本的に、従来、在留期間の上限を3年とされていたのが、新入管法ではこれを5年に伸長している。

3 再入国許可制度はどのように改正されたのか

従来は、本邦に在留する外国人が、在留資格を維持したまま出国する際には、逐一、地方入国管理局等で再入国の許可を受けなければならなかった。しかし、中長期在留者については、今回の改正により、在留状況を的確に把握できることとなり、再入国許可申請をさせて在留資格を確認する必要性が逓減した。

 そこで、有効な旅券及び在留カードを所持する中長期在留者等一定の者が再入国する意思で出国する場合には、原則として出国時に有効期間1年の再入国許可を受けたものとみなすこととした。これにより、例えば、自社の外国人従業員が本邦から外国に出張する場合には、上記要件を満たす限り、再入国許可を得ずに一時渡航することが可能となり、企業としても便宜である。

 なお、例外的に再入国の許可を要する場合については、今後法務省令で定める予定となっている。また、1年を超えて再入国する予定の者については、従来どおり再入国許可が必要であり、その場合の再入国許可の有効期間は5年である。

4 再入国許可の期間の延長を申請できるか

外国人従業員がみなし再入国許可により出張により外国に赴いた場合、出張先で状況が変わったために出張期間を延長する必要性が生ずることがあり得る。

 しかし、この場合には、有効期間を海外で延長することはできず、出国の期間が1年を超えたときは在留資格が失われてしまうことに注意が必要である。したがって、出国している期間が1年を超えることが予想される場合は、従来どおり再入国許可を受けて出国する必要があるから労務担当者には十分に注意されたい。