約束手形を利用した債権回収
| 例えば、取引先の売掛金の支払状態が悪くなり、200万円の売掛金を、「毎月の支払とは別に、10万円ずつ20回に分けて支払わせてほしい」と頼み込まれるようなことがあります。この場合、売掛金債権の回収のためには、取引先に額面10万円の約束手形を20枚振り出してもらうとよいでしょう。 また、取引先との間で、事前に調整ができるのであれば、即決和解を裁判所に申し立てて、毎月10万円の20回払いという内容の和解調書を作成することで、万一の場合に強制執行手続を迅速に行えるよう準備することも有効です。 |
①不渡処分を背景にして支払を間接的に強制できる
手形を振り出した者は、6か月以内に2回不渡りを出すと、銀行取引停止処分(以下「不渡処分」といいます)を受け、以後2年間は当座勘定取引ができなくなるという制裁を課せられることになります。
従って、手形の振出人としては、そのような致命的な制裁を受けることを何とかして回避しようと努力することが通常です。
②手形訴訟を利用できる
取引先が手形を振り出したにもかかわらず、支払期日に支払をしない場合、手形を所持していれば、手形の振出人に対して手形訴訟という通常の訴訟よりも簡易迅速な訴訟手続を利用することができます。
③消滅時効が3年である
6か月以内売掛金債権の消滅時効の期間は2年とされていますが、手形債権の消滅時効の期間は3年となりますので、不良債権化している債権の金額に相当する額面の手形を振り出してもらうことは、消滅時効の点でも有利といえます。
(2)約束手形を利用する場合の注意点
手形を利用して不良債権化した債権の回収を図る場合にも、取引開始当初に行った信用調査の結果を踏まえた上で、取引先の経済状態について、再度、信用調査をすることが必要です。
また、手形を振り出す取引先は、すでに支払を滞りがちにしていますので、手形の支払期日に取引先が決済資金を用意できない可能性も否定できません。そこで、万一の事態に取引先以外の者から債権回収をすることができるようにするため、取引先の代表者などの第三者による手形上の保証や保証の趣旨で行う裏書を取得することができるとよいでしょう。
(3)即決和解の利用
即決和解とは、和解という名が入っているように、裁判所を利用した一種の和解手続です。
すなわち、訴えを提起して争ってから和解するのではなく、事前に当事者間で調整した上で、簡易裁判所への即決和解の申立て後、すぐに和解手続に入ることになります。
和解が成立すると、和解調書が作成され、これにより強制執行を行うことができます。














